共有物に対する権利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:39 UTC 版)
共有物の使用各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(249条)。具体的には、土地について3分の1の持分を有する共有者は、面積の3分の1ではなく全体を使用することができる。 持分価額が過半数を超える者であっても少数持分権者が単独で占有している共有物の明け渡しを求めることはできない(最判昭和41・5・19民集20巻947頁)。 共有物の変更行為共有物の変更行為には、他の共有者全員の同意を得なければならない(251条)。 変更行為とは、保存行為と管理行為を除く、共有物の物理的変化を伴う行為を言う。 変更行為の具体例は、①田畑を宅地に造成する事、②売買とその解除、③共有地上に用益物権(地上権・法定地上権等)を設定する事などがあげられる。 共有物全体の処分も変更に等しい行為であるから全員の同意を要する。民法251条に違反する変更行為に対して他の共有者はその行為の禁止と原状回復を請求することができる(最判平成10・3・24判時1641号80頁)。 共有物の管理行為共有物の管理行為には、共有者の持分価額の過半数で決して行わなければならない(第252条本文)。 管理行為とは、共有物の使用・利用・改良を行う行為のことを指す。ここでの「利用」行為とは共有物を用いて、その性質を変更せずに収益を上げる事を指し、「改良」行為とは共有物の交換価値を増加させることを指す。 管理行為の具体例としては、①共有者の一人に使用させる事 ②共有物の賃貸借とその解除 ③共有物の管理者を定めそのものに使用収益させる事などがある。 共有物を目的とする賃貸借契約解除は管理行為である(最判昭和29・3・12民集8巻696頁、最判昭和39・2・25民集18巻329頁)。 共有物の保存行為共有物の保存行為には、各共有者が単独でできる(252条但書)。 保存行為とは、共有物の現状を維持する事で、全ての共有者に不利益が及ばないようにする行為のことを指す。 保存行為の具体例としては、①目的物の修繕 ②腐敗し易い物の売却 ③物権的請求権の行使などがあるが、他の共有者に不利益を与えない行為は保存行為として広く捉えることが多い。
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