公理的アプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 10:26 UTC 版)
具体的な構成から完全に離れて、超現実数に対する別なアプローチが Alling (1987) によって与えられた。これは構成法ではなく、超現実数を実現するどのような構成法もが満足する公理系の集合を与えるものである。実数の公理的構成(英語版)と極めて同様に、この公理系は同型を除いて一意な存在を保証するものである。 三つ組 ⟨𝐍𝐨, <, b⟩ が超現実数系 (surreal number system) であるとは、以下の公理をすべて満足するときに言う: < は 𝐍𝐨 上の全順序である; b は 𝐍𝐨 から順序数全体の成すクラスの上への写像である(この写像 b を 𝐍𝐨 上の「誕生日函数」と呼ぶ); 𝐍𝐨 の部分クラス A, B が任意の x ∈ A, y ∈ B に対して x < y を満たす(このとき、アリングの語法で ⟨A, B⟩ は 𝐍𝐨 に関する「コンウェイ切断」("Conway cut") と呼ばれる)ならば、z ∈ 𝐍𝐨 が一意に存在して、b(z) が極小かつ任意の x ∈ A, y ∈ B に対して x < z < y とできる。(この公理はしばしば「コンウェイの単純性定理」("Conway's Simplicity Theorem") と呼ばれる) これらに加えて、 順序数 α が b(x) (∀x ∈ A, B よりも大きいならば、b(z) ≤ α である(アリングはこの公理まで満足する系を「完全超現実数系」("full surreal number system") と呼んでいる)。 コンウェイのオリジナルの構成も、符号展開による構成も、ともにこれら公理系を満足する。 与えられたこれら公理系から Alling (1987) はコンウェイによるオリジナルの ≤ の定義を導き、超現実数の算術を展開した。
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