アレクサンドル・グロタンディークの公理的アプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 22:27 UTC 版)
「チャーン類」の記事における「アレクサンドル・グロタンディークの公理的アプローチ」の解説
一方、アレクサンドル・グロタンディーク Alexander Grothendieck (1958)はこれらを公理を少し小さいものに置き換えた。 函手性(Functoriality): (上記に同じ) 加法性(Additivity): 0 → E ′ → E → E ″ → 0 {\displaystyle \ 0\to E'\to E\to E''\to 0} がベクトル束の完全系列であれば、 c ( E ) = c ( E ′ ) ⌣ c ( E ″ ) {\displaystyle c(E)=c(E')\smile c(E'')} である。 正規化(Normalization): E を線束とすると、 c ( E ) = 1 + e ( E R ) {\displaystyle c(E)=1+e(E_{\mathbf {R} })} となる。ここに e ( E R ) {\displaystyle e(E_{\mathbf {R} })} は基礎となる実ベクトル束のオイラー類である。 グロタンディークは、ルレイ・ハーシュの定理(英語版)(Leray-Hirsch theorem)を使い、任意の有限ランクの複素ベクトル束の全チャーン類を、トートロジカルに定義された線束の第一チャーン類の項で定義することができることを示した。 すなわち、ランク n の複素ベクトル束 E → B の射影化 P(E) を任意の点 b ∈ B {\displaystyle b\in B} でのファイバーが B のファイバー束となっているバンドルとして導入すると、この射影化されたバンドルはファイバー Eb の射影空間となっている。このバンドル P(E) の全空間は、トートロジカル複素線束を持っていて、これを τ と書く。第一チャーン類 c 1 ( τ ) =: − a {\displaystyle c_{1}(\tau )=:-a} を各々のファイバー P(Eb) から超平面のポアンカレ双対クラスを引いたものへ制限する。この制限を入れると複素射影空間の観点からはファイバーのコホモロジー空間を張る。 従って、類 1 , a , a 2 , … , a n − 1 ∈ H ∗ ( P ( E ) ) {\displaystyle 1,a,a^{2},\ldots ,a^{n-1}\in H^{*}(\mathbf {P} (E))} は、ファイバのコホモロジーに基底へ制限する周囲のコホモロジー類の族を形成する。ルレイ・ハーシュの定理は、H*(P(E)) の任意の元は基底上のクラスを係数に持つ 1, a, a2, ..., an−1 の線型結合として一意に表されることを言っている。 特に、グロタンディークの意味で、E のチャーン類を定義することができ、 c 1 ( E ) , … c n ( E ) {\displaystyle c_{1}(E),\ldots c_{n}(E)} と書く。ここで使われるの方法は、次の関係式を満たす類 − a n {\displaystyle -a^{n}} へ拡張する方法である。 − a n = c 1 ( E ) . a n − 1 + … c n − 1 ( E ) . a + c n ( E ) . {\displaystyle -a^{n}=c_{1}(E).a^{n-1}+\ldots c_{n-1}(E).a+c_{n}(E).} 従って、この代わりの定義が、他の気に入った定義、あるいは前に公理的特徴付けに使った定義に一致しているか否を検証することができるであろう。
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