確率変数の関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 05:57 UTC 版)
実数のボレル可測関数 g : R → R {\displaystyle g:\mathbb {R} \rightarrow \mathbb {R} } を実数値確率変数 X に適用すると、新たな確率変数 Y を定義することができる。Y の分布関数は、 F Y ( y ) = P ( g ( X ) ≤ y ) {\displaystyle F_{Y}(y)=\operatorname {P} (g(X)\leq y)} である。 関数 g に逆関数 g−1 が定義可能であり、かつそれが増加関数かまたは減少関数である場合には、上記の関係は以下のように展開できる。 F Y ( y ) = P ( g ( X ) ≤ y ) {\displaystyle F_{Y}(y)=\operatorname {P} (g(X)\leq y)} = { P ( X ≤ g − 1 ( y ) ) = F X ( g − 1 ( y ) ) , P ( X ≥ g − 1 ( y ) ) = 1 − F X ( g − 1 ( y ) ) , {\displaystyle ={\begin{cases}\operatorname {P} (X\leq g^{-1}(y))=F_{X}(g^{-1}(y)),&\,\\\operatorname {P} (X\geq g^{-1}(y))=1-F_{X}(g^{-1}(y)),\,\end{cases}}} (g−1 が増加関数の場合), (g−1 が減少関数の場合). さらに、同じく g の可逆性に加えて微分可能性も仮定すると、両辺を y で微分することにより、確率密度関数の関係を下記のように記述できる。 f Y ( y ) = f X ( g − 1 ( y ) ) | d g − 1 ( y ) d y | {\displaystyle f_{Y}(y)=f_{X}(g^{-1}(y))\left|{\frac {dg^{-1}(y)}{dy}}\right|} g の逆関数が存在しない場合でも、それぞれの y が高々可算個の根を持つ場合(すなわち、y = g(xi) である xi の数が有限または可算無限の場合)には、上記の確率密度関数の関係は次のように一般化できる。 f Y ( y ) = ∑ i f X ( g i − 1 ( y ) ) | d g i − 1 ( y ) d y | {\displaystyle f_{Y}(y)=\sum _{i}f_{X}(g_{i}^{-1}(y))\left|{\frac {dg_{i}^{-1}(y)}{dy}}\right|} ただし xi = gi−1(y) この式は g が増加関数でなくとも成立する。 確率に対する公理的アプローチとしての測度論において、空間 Ω 上の確率変数 X およびボレル可測関数 g : R → R {\displaystyle g:\mathbb {R} \rightarrow \mathbb {R} } を取る。可測関数を合成したものもまた可測である(しかし、g がルベーグ可測の場合はその限りではない)ため、Y = g(X) もまた空間 Ω 上の確率変数である。Y の分布を知るために、確率空間 (Ω, P) から ( R , d F X ) {\displaystyle (\mathbb {R} ,dF_{X})} への移行と同じ手順を利用できる。
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