元禄のインフレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/19 02:45 UTC 版)
「日本のインフレーション」の記事における「元禄のインフレーション」の解説
江戸時代の元禄年間、勘定吟味役荻原重秀が、幕府の財政拡大による財政赤字増大策として1695年に元禄の改鋳による金銀含有率の引き下げを行った。この改鋳は慶長小判に対し銀を加えて含有金量を2/3とし、通貨量を1.5倍にするというものであった。その結果インフレーションにはなったが、マネーサプライが増えたがゆえに太平下で物資の生産が増えてだぶつき、デフレーション気味であった経済を立て直したとする見方もある。また当初引替に対し慶長小判100両に対し、元禄小判101両と僅かな増歩しか付けなかったため引替はあまり進捗せず、貨幣流通量の増加が緩やかなクリーピング・インフレであった。 一方で、この改鋳についてマネーサプライという現代的観念を持出して評価する向きに対し、通貨数量の増大とは何か、その意味や効果の究明を行わずに簡単に結論を出せるものではない。当時は中国や朝鮮など海外との交易では金銀は国際決済手段として用いられていたのであり、大坂の両替商など商人らの取引に於いて貨幣の素材価値が交換の媒体としての意味を失っておらず、当時の通貨の未発達な段階に於いて品位を低下させ名目価値を増大させても、実質価値としての通貨増大という経済的意義にはつながっていなかったとする見方もある。
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