儀礼用ナイフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 14:58 UTC 版)
宗教的な象徴としての意味を持つナイフもある。例えばイエメンをはじめ中東~中近東といったアラビア世界では、「ジャンビーヤ」と呼ばれる湾曲したナイフがあるが、これは遊牧民が家畜をさばくような日常生活でも利用される一方、成人した証でもある。大人になった男子はこのナイフを与えられ、一人前とみなされる。こういった儀礼的ナイフは世界各地に見られ、その多くは美しく宝飾されていたり、あるいは彫金されていたり、一種のアクセサリー的な側面もある。 その一方で宗教的な行為に使用されるナイフも見られ、秘教の流派の中には儀式において所定のナイフを使用するものがあるほか、ヒンドゥー教では新生児の枕元にマッチと共にナイフを置いて魔除けとするなどといった風習も見られる。北欧のブラウニー伝承がある地域では妖精による取り替え子を防ぐために妖精の嫌うナイフなど鉄製品を赤ん坊の傍に置く風習が見られる。他にも大航海時代より西欧の船員は一種の護符としてナイフを携行したという話もある。ナイフは身近で汎用性のある便利な道具であったため、このような用法も発生したと思われる。 宗教色の無い儀礼用ナイフとしては、軍隊などの制服用短剣・短刀がある。これらは軍刀の一種であるが戦闘に使うのではなく、身分や権威を示す儀仗が目的であるため、刃が付けられていなかったり、模造刀身を備える場合がほとんどである。一例として、日本海軍の准士官以上が携行した短剣は上述の船員ナイフを起源とし、本格的な刀身を仕込む事例もあったものの、あくまで制服の一部として扱われた。
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