作品に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:22 UTC 版)
同世代で児童文学作家の山中恒は、「作中に夥しい数の事実誤認や歴史的齟齬がみられること」や、「主人公やその家族の視点が当時の一般的な日本人の感覚から大きく乖離していること」、「戦後になるまで誰も知らなかったはずの事実をまるで未来からでも来たかのように予言していること」、さらに「自身が編纂に関わった書物の記述がその誤りの部分も含めてまるごと引用されている点」などを自著『間違いだらけの少年H』で指摘し、『少年H』は妹尾の自伝でもなんでもなく、戦後的な価値観や思想に基づいて初めから結論ありきで描かれた作品であると看破し、「年表と新聞の縮刷版をふくらませて作り上げたような作品」「戦争体験者の酒の席での与太話を小説風にまとめただけのもの」と酷評した。さらに、2001年(平成13年)に山中は『「少年H」の盲点』という批判書を出版した。 妹尾はあくまでも「自らの記憶と体験を元に書いた作品である」との主張を撤回してはいないが、山中の挙げた具体的な誤りや欺瞞の指摘に対しては口を閉ざし、一切の反論を行っていない。ただし『少年H』の文庫化に際しては、山中に指摘された部分を中心に何箇所もの訂正や変更、削除などが行われている。 2013年に映画化された際に監督の降旗康男は、他の資料とともに山中の『間違いだらけの少年H』も参照し、直すべき個所は直したという。
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