体重の重い脊椎動物の飛行(飛翔)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 23:27 UTC 版)
「飛翔」の記事における「体重の重い脊椎動物の飛行(飛翔)」の解説
体重が重い脊椎動物では、離陸するときに飛行機のように滑走してから飛び立ったり、高いところから飛び降りたりするものが多い。平常時も羽ばたくことはほとんどなく、滑空(滑翔)したり、グライダーやハンググライダーのように上昇気流を利用したりするものがある。これは、体重が重いほど羽ばたきづらくなるためである。 ワシタカ科の大型の鳥では太陽の熱で暖まった地面から発生する上昇気流を翼で受けて飛翔する。そのため、翼は単位面積あたりで発生する空気力(翼面荷重)が小さい。羽ばたきによる飛翔は数秒から数十秒しか持続できない。 カモメなどの海鳥は長時間の滑空を行うが、こうした鳥はアスペクト比(縦横比)の大きな翼をもつとともに、翼と胴体の継ぎ目などが滑らかであり、揚抗比が大きく滑空比が高い(1 m 下降する間に何メートル進めるか、が滑空比)。また、海からの風が船べりや防波堤、崖などにあたってできる上昇気流で空中にとどまる(斜面滑翔)こともある。餌をあげなくても観光フェリーなどにカモメが集まるのは、海上が障害物に乏しく、地熱による上昇気流もないためである。このほか、ミズナギドリ目の鳥が行う、動的滑翔(ダイナミックソアリング)と呼ばれるウィンドシアを利用した滑空がある。 タカ科の鳥はアスペクト比がそれほど大きくないが、初列風切羽を広げることによって翼端渦を効果的に整形ないし抑制し、揚抗比を高めているとも言われている。単純に翼幅が大きくならなかった理由としては、開けた場所での飛行が多い海鳥と違い、林間など障害物の多い所での飛行に適応したためなどと推測されている。 プテラノドンなどの大型翼竜は体重と翼の大きさから、滑空しかできなかったと考えられていた時代がある。しかし、研究が進むと、数分に一回程度の割合で、羽ばたきをしているとの研究も出てきている。
※この「体重の重い脊椎動物の飛行(飛翔)」の解説は、「飛翔」の解説の一部です。
「体重の重い脊椎動物の飛行(飛翔)」を含む「飛翔」の記事については、「飛翔」の概要を参照ください。
- 体重の重い脊椎動物の飛行のページへのリンク