伝承の中に見る由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 07:43 UTC 版)
ヴァーハナは物語や時代、場所によって変化する。俗伝を含めればそれぞれの由来は無数の異なった形で伝えられている。ここに3つの例を紹介する。 ガネーシャが幼い頃、巨大なねずみが彼の友達を怖がらせるようになった。ガネーシャは投げ縄(Pasha)でそれを捕らえヴァーハナとした。そのねずみ、ムシカはもともとはガンダルヴァであったとされている。ムシカはうっかりとヴァマデーヴァ(Vamadeva)というリシの足を踏んでしまったことから呪いによりねずみへと姿を変えられてしまった。後に怒りを収めたリシは、いずれ神々がムシカの前に頭を下げる日が来るであろうと予言、ガネーシャとの物語につながっていく。 シヴァの乗り物として認知される以前、ナンディンはナンディケシュヴァラ(Nandikeshvara)という喜びと音楽と舞踊をつかさどる神であった。しかしある時代を境になんの予兆も無く彼の名前と機能は踊りの王、ナタラージャと異名を持つシヴァの視点から語られるようになっている。その変化の中で半人半牛の神の姿は単純に牛の姿へと変化した。シヴァを祀る寺院ではシヴァの方角に向けて配置されたナンディンを見ることができる。 スカンダはヒンドゥーと習合する以前の南インドの神、ムルガン(Murugan)の時点ですでに孔雀に乗っていた。この孔雀はもともとはスラパドマ(Surapadman)と呼ばれる悪魔であった。ムルガンとの戦いの中でスラパドマは降伏を拒絶し、ムルガンを挑発する。ムルガンの槍(Vel)がスラパドマに突き刺さると、後悔の念に苛まれたスラパドマは木へと姿を変え祈りを捧げ始めた。ムルガンはその木を2つに切り、一方からは彼の紋章となる雄鶏を、もう一方からは以降彼のヴァーハナとなる孔雀を引き出した。また別の伝承では、スカンダは悪魔、ターラカを調伏するためにパールヴァティとシヴァの息子として生を受けている。スカンダはクリシカ(Kritthikas)に育てられ、生まれてから6日目には神軍を率いた。ターラカを打ち破るとスカンダは彼を赦し、ターラカをヴァーハナである孔雀の姿へと変えた。つまり私たちがスカンダに花を捧げるとき、ターラカはいつでもスカンダに供奉している。敵と合祀されているという点で特徴的な神である。
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