伊能大図の捜索・検証状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 15:30 UTC 版)
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2001年3月にアメリカ合衆国議会図書館で、伊能大図のうちの207枚(うち169枚が彩色なし)が発見された。これは上記の陸軍による輯製20万分1図作成のための骨格基図として模写されたものが、米国に渡ったものと考えられる。 さらに残る7枚のうち、佐倉市の国立歴史民俗博物館で2枚(34番:蝦夷江差、35番:蝦夷ヲコシリ島)、国立国会図書館で1枚(107番:駿河静岡)が発見された。 最後に残った4枚(12番:蝦夷宗谷、133番:山城・河内・摂津、157番:備中・備後福山、164番:備後・安芸・伊予今治)についても、2004年5月に海上保安庁海洋情報部で保管されていた縮小版の写しの中に含まれていることが判明した。海上保安庁の前身である旧海軍水路部が明治初期に海図を作製する目的で模写したものだという。これらの発見により、伊能大図214枚の全容がつかめるようになった。これを受け、2006年5月に国土地理院所管財団法人日本地図センターが「伊能大図総覧」を刊行し、伊能図が一般の目にも触れられるようになった。大図の詳細な検討によって、伊能忠敬による測量がいかに行われたかなど従来検証しづらかった点についても、今後の研究が期待される。その後も2007年1月に、やはり海上保安庁から高画質の原寸模写図3枚を含む色彩模写図が発見され、2021年に列島を3枚に収めた小図の副本が発見されたことを日本地図学会の専門部会が発表するなど、状態の良い伊能図が発見されている。
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