代替プロジェクト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 00:45 UTC 版)
「ナブッコ・パイプライン」の記事における「代替プロジェクト」の解説
2006年、ロシア・ガスプロム社は、ナブッコ・パイプラインに対抗して、2005年に既に正式稼働しているブルー・ストリーム (Blue Stream) パイプライン(ロシア・黒海・トルコ間パイプライン)の追加工事として、トルコからブルガリアとセルビアを通過してハンガリーまでブルー・ストリームを延長する案を示した。また、2007年にはブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロヴェニアを経由してオーストリアとイタリアへと天然ガスを輸送するサウス・ストリーム計画が提案された。このサウス・ストリームは、ナブッコ・パイプラインのライバル・プロジェクトとみなされている。2010年3月10日、サウス・ストリームのパートナーであるイタリア・Eni社のパオロ・スカローニCEOは、「投資額と運営コストを減らし、収入を増やすため」ナブッコとサウスストリームをナブッコとサウス・ストリームを統合する案を表明した。だがロシアのセルゲイ・シマトコエネルギー相は「サウスストリームはナブッコより競争力がある」、「ナブッコとサウス・ストリームは競争関係になり得ない」として、スカローニの案を取り下げた。またオーストリアのOMV社も、プロジェクトを統合について現在も継続している議論はないとしている。 一方ウクライナは、グルジアとウクライナのガス網を接続させる「ホワイト・ストリーム (White Stream) 」計画を立ち上げた。この他、アドリア海横断パイプライン (Trans Adriatic Pipeline) とギリシャ・イタリアパイプラインもナブッコの競合プロジェクトとみなされている。欧州コーディネーターのヨジアス・ファン・アールツェンによると、これら5つのパイプラインは、アゼルバイジャンのシャフ・デニズガス田へのアクセスを巡って互いに競合関係にあるとし、トルコ・エネルギー相タネル・ユルドゥズ (Taner Yıldız) は、トルコとしてはナブッコとトルコ・ギリシャ・イタリア(TGI)パイプラインを一体化する案を支持していると述べている。 こうした各パイプライン計画とは別に、液化天然ガス(LNG)もナブッコ・パイプラインの(ナブッコのみならずパイプライン全体の)競合相手である。アゼルバイジャン、グルジア、ルーマニア、ハンガリーは2010年9月にAGRI (Azerbaijan–Georgia–Romania Interconnector) を設立した。これはアゼルバイジャンのガスをLNGの形で欧州向けに輸出するプロジェクトである。中東やアフリカの天然ガス産出国からLNGを調達できるようになったことも、パイプラインの経済性が問われる要因のひとつとなっている。
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