仙台での判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 02:27 UTC 版)
11月27日、仙台控訴院での第1回公判が開かれたが、仙台の弁護人が、突然、申立書が検事直筆でないため、控訴は無効と主張した。(当時の刑事訴訟法では、裁判で使われる調書類はすべて直筆の署名がないと無効になった)申立書が無効という事実は東京側弁護団や被告には知らされていなかった。実は、検察側が前橋地方裁判所に提出した最初の起訴状そのものも代筆で、そもそも裁判は最初から無効であった。仙台側弁護士は、初公判の時点でこのことにも気づいていたが、軽罪での時効が迫っていたため、あえて裁判を長引かせ、時効を狙うために1審の起訴状については言及しなかった。しかし、公判後、裁判所が署名を点検してこの事実に気付き、12月25日の第2回公判で、1審の起訴状に担当検事の署名がなく、起訴無効という判決がおりた。 仙台の弁護士が、何故、起訴状の署名が代筆だと気づいたのか、遠く離れた前橋の検察官の直筆署名をどうやって手に入れたのかは不明のままである。一説によれば、当時、東北地方の強姦事件の公判で、被害者の調書に被害者本人の署名がないという理由で無罪になることが立て続けにあり、それ以来、仙台の弁護士は調書の署名を注意してみるようになったともいう。なお、のちに法が改正され、被害者の調書については、直筆署名でなくてもよいことになった。 この時点では川俣事件の時効は完成しておらず、検察側は再び1審から起訴をやり直すこともできたが、行わなかった。再度世論が沸騰するのを防ぐためだと考えられている。ただし、第2回公判直前の12月23日に、複数の被告が再収監されており、これを再起訴の準備と見る研究者もいる。
※この「仙台での判決」の解説は、「川俣事件」の解説の一部です。
「仙台での判決」を含む「川俣事件」の記事については、「川俣事件」の概要を参照ください。
- 仙台での判決のページへのリンク