人類集団の遺伝的系統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 13:38 UTC 版)
左図は多型マイクロサテライトにより求められた人類集団の系統樹である。この系統樹が意味するところは、最初にアフリカ人とその他の集団が分岐したこと、次にヨーロッパ人とその他の集団が分岐したこと、その次に東・東南アジア人とオーストラリア人が分岐し、最後の大きな分岐として東・東南アジア人とアメリカ先住民が分岐したということである。この系統樹で見られた主要な特徴は、従来のタンパク質多型や最近の核DNAの多型によって明らかにされた人類集団間の系統関係と大筋において一致する。(外部リンクを参照) 近年の遺伝子研究により、中図のように北アフリカ人や中東人は遺伝子的にヨーロッパ人に近いが、長年の間にサハラ以南のアフリカ人と同化していることもあり、ヨーロッパ人とサハラ以南のアフリカ人の間に位置している。同様に、中央アジア人やインド人も地理的配置からヨーロッパ人と東アジア人(オーストラリア先住民、アメリカ先住民を含む)の間に位置している。 右図は世界の18人類集団の遺伝的近縁関係を23種類の遺伝子の情報をもとに近隣結合法によって作成された人種の遺伝的近縁図である。この分析が証明する人類集団の系統は、アフリカン(ネグロイド)からコーカソイド(白人)が分岐し、コーカソイドからオセアニアン(オーストラロイド)・イーストアジアン(モンゴロイド)が分岐、そしてイーストアジアンからネイティブアメリカンが分岐した、と云うものである。この人類集団の近縁関係は上記の遺伝的系統樹と現在の人類集団の地理的配置に一致する。 人類の進化系統樹 変動ゲノムワイドパターンから求められる51集団の遺伝的系統樹 Science vol319(22 FEBRUARY 2008) 遺伝的近縁図 ただしこれらの系統樹には混血の歴史が反映されないため、より厳密な手法やハプログループによる系統で分析すべきという意見もある。 近年の研究においては現生人類の分類中、純粋なホモ・サピエンス(従来のネグロイド)と、ホモ・サピエンスの祖先と「ホモ・ネアンデルターレンシス」との雑種(ネグロイド以外の現生人類)が存在するとの論文が発表されている。 最近の研究から、東アジア人(モンゴロイド)を特徴付ける遺伝子があることがわかった。
※この「人類集団の遺伝的系統」の解説は、「人種」の解説の一部です。
「人類集団の遺伝的系統」を含む「人種」の記事については、「人種」の概要を参照ください。
- 人類集団の遺伝的系統のページへのリンク