交番計画の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:49 UTC 版)
行路計画がまとまると交番計画を作成する(充当計画・割当計画)。この際に多くの行路を受け持つ区所では、行路をある程度のまとまりごとに分割してそれぞれに交番を作る。このまとまりのことを交番組または単に組という。 各交番組に含まれた行路を並べて交番順序表を作成する。図3に単純な交番順序表の例を示す。図3は、駅Aと駅Bの間の列車を3往復、駅Bと駅Cの間の列車を1往復担当している交番組に対するものである。3つの行路を含んでいる例であるが、実際の交番組ではもっと多くの行路を含んでいるのが通常である。交番順序表はその形から横棒と通称される。横棒の各項目は箱ダイヤの運用を表す線を横に伸ばしたものとなっており、図3では省略されているが、列車番号や時刻などの記載がある。行路1の終わりと行路2の始まりがともに駅Bになっており、これは行路1が駅Bでの滞泊で終わって、その翌日行路2が駅Bから始まることを示している。この交番組を担当することになった編成・乗務員は、行路1から行路3の順番で運用されることになる。ただし前述した通り、乗務員に関しては滞泊する行路は泊行路として最初からまとめて取り扱われている。 交番順序表では、検査や休暇の予定も考慮される。車両運用における検査は、行路の中で一定時間を検査に割り当てているものと、交番順序の中で行路を設定しない日を含めることで割り当てているものがある。乗務員運用では一定の間隔で乗務員に休暇を与える必要があり、これは交番順序の中で休暇を設定することで対応している。 なお、交番順序表に従って運用した時に、前述した車両運用や乗務員運用に関する制約、特に検査周期と勤務条件を遵守できるように計画しなければならない。また、車両運用に関しては乗務員運用のように所属区所に毎日(日勤行路の場合)帰らなければならないという制約はないが、運用中に故障が発生して修理の必要がある場合に所属車両基地への回送、代走車両の手配などの問題があるため、短い期間ごとに所属車両基地へ戻ってくる運用が望ましいとされる。 平日ダイヤと休日ダイヤの設定がある場合は、交番順序の計画はさらに複雑なものとなる。乗務員運用では、平日と休日の日勤行路をそれぞれ計画しておき、泊行路については平-平行路・平-休行路・休-平行路・休-休行路の4パターンの行路を作成するのが基本である。これに対して車両運用では1日ごとに行路を区切って考えているために、平日行路1から休日行路2へつなげられるかどうかなど、ありうる全ての組み合わせに対して制約条件を満たしていることを確認した交番計画を作る必要が生ずる。 基本的には交番順序表に従って運用が行われるが、車両を特別に修理したい場合や全般検査などの長く掛かる検査をする場合、乗務員の都合による休暇の設定の場合など、随時交番順序表に拠らずに代わりの編成や乗務員を充てることになる。 交番計画は、主にそれぞれの車両基地や乗務員所属区所で作成されている。
※この「交番計画の作成」の解説は、「運用 (鉄道)」の解説の一部です。
「交番計画の作成」を含む「運用 (鉄道)」の記事については、「運用 (鉄道)」の概要を参照ください。
- 交番計画の作成のページへのリンク