五大力菩薩の中の金剛薬叉菩薩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 16:22 UTC 版)
「金剛夜叉明王」の記事における「五大力菩薩の中の金剛薬叉菩薩」の解説
金剛夜叉明王の起源は、曼荼羅や経典に登場する金剛牙菩薩、金剛薬叉菩薩(いずれも梵語にするとヴァジュラヤクシャ)および別称の金剛吼菩薩、摧一切魔菩薩と考えられる。 金剛薬叉菩薩は、鳩摩羅什訳とされる旧訳『仁王経』(大正蔵:№245)に説かれる五大力菩薩と呼ばれる憤怒相の菩薩の一つであり、これらは明王の先駆けであるため、後に、不空訳とされる新訳『護国仁王般若経』(大正蔵:№246)では五大明王を配することとなる。新訳では以下の通り。 金剛波羅蜜多菩薩(こんごうはらみつたぼさつ)[大日如来、転法輪菩薩、不動明王] 東、金剛手菩薩(こんごうしゅぼさつ) [阿閦(あしゅく)如来、普賢菩薩、降三世明王)] 西、金剛利菩薩(こんごうりぼさつ) [阿弥陀如来、文殊菩薩、大威徳明王] 南、金剛宝菩薩(こんごうほうぼさつ) [宝生如来、虚空蔵菩薩、軍荼利明王] 北、金剛薬叉菩薩(こんごうやしゃぼさつ [不空成就如来、摧一切魔菩薩、金剛薬叉明王] また、不空訳『理趣経』の大いなる忿り(忿怒の法門)摧一切魔菩薩の章には以下の記述がある。 【かくて、摧一切魔菩薩は、この「大いなる忿りの法門」を、より一層に明らかにしようと考えて、顔を和らげ、微笑まれ、手に金剛牙の印を結び、身体全体を金剛夜叉の姿に変身させて、全てのものを恐怖させ、仏道に引き寄せようとされた。大いなる忿怒は、そのままで大いなる歓喜となり、この教えを一文字で表す聖音「ハハ」を唱えたのであった。】
※この「五大力菩薩の中の金剛薬叉菩薩」の解説は、「金剛夜叉明王」の解説の一部です。
「五大力菩薩の中の金剛薬叉菩薩」を含む「金剛夜叉明王」の記事については、「金剛夜叉明王」の概要を参照ください。
- 五大力菩薩の中の金剛薬叉菩薩のページへのリンク