中英語へのフランス語の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 00:49 UTC 版)
「中英語クレオール仮説」の記事における「中英語へのフランス語の影響」の解説
英語にはフランス語やノルマン語からの借用語が多数存在するが、それらの借用語の多くは14世紀に英語に入ったものである。英語がイングランドの公用語の地位をフランス語から奪還したのは1362年、エドワード3世の時代であり、1066年のノルマン・コンクエスト以来はじめて議会で英語が用いられた。 とはいえノルマン・コンクエストによって失われた土着のアングロ・サクソン語(古英語)の単語は多くは甦ることはなかった。実際、中英語期の終わりには、古英語の語彙全体の80%にのぼる単語が使われなくなっていた。もっとも古ノルド語からの借用のうちで最も目を惹くものである代名詞は、クレオール化によってもたらされたものとすることはできない。この借用は hiem と him の類似などによるもののようである[要出典]。 現代英語の複数形で最も一般的な形 (-s/-es) は、古英語の男性名詞主格・対格複数形 (-as) に由来するが、もっぱらこの複数形が用いられるのはフランス語の影響によるものかもしれない。他のゲルマン語では、規則的な変化をする名詞で、1パターンしか複数形がないということはないためである(オランダ語とアフリカーンス語で2種類、ドイツ語とスウェーデン語では5種類で、定義によってはさらに増える)。 フランス語は英語の発音にも影響を及ぼしている。古英語には [f]、[s]、[θ]、[ʃ] といった無声摩擦音が存在したが、フランス語の影響によってそれらの有声化した [v]、[z]、[ð]、[ʒ] が英語の子音として成立した。また、二重母音 [ɔj] もフランス語の影響によってできたものである。当時、おおまかにいって貴族はフランス語を話し、農民は英語を話したが、上下の両階級が異なる言語を用いていたことで、多くの語彙についてラテン語系の高級語彙とゲルマン語系の下級語彙という組み合わせが成立した。
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