中山星香とは? わかりやすく解説

中山星香

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 06:06 UTC 版)

なかやま せいか
中山 星香
本名 中山 玲子[1]
別名義 矢吹 れい子[2]
生誕 (1954-03-06) 1954年3月6日(71歳)[1]
日本岡山県倉敷市
職業 漫画家
活動期間 1977年 -
ジャンル 少女漫画
ファンタジー漫画
代表作 『花冠の竜の国』
妖精国の騎士
『フィアリーブルーの伝説』など[1][注 1]
受賞 第37回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞(2008年度『 妖精国 アルフヘイムの騎士』に対して[4]
公式サイト 漫画家中山星香のHOMEPAGE Nerimador House
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中山 星香(なかやま せいか、1954年昭和29年〉3月6日 - )は、日本漫画家岡山県倉敷市出身、東京都練馬区在住、血液型はA型[注 2]
矢吹れい子名義で『初代・日ペンの美子ちゃん』を執筆していたことでも知られる[2]。実兄は、同じく漫画家の中山蛙。ペンネームは実家の「中山青果」に由来する[5]。日本の少女向けファンタジー・コミックの開拓者であり、第一人者である[6]。「日本漫画家協会」・「ぐるーぷANTI 」の2団体に所属している(2023年時点[注 3])。

経歴

岡山県岡山市生まれ、倉敷市に育ち、小学生の頃から兄から漫画の描き方を教わる。岡山県立倉敷青陵高等学校卒業後に上京、飯塚よし照の“猪まんがスタジオ”に入社[7]。猪まんがスタジオが受注した仕事のひとつに、通信教育「現代ボールペン習字講座」の広告漫画執筆があった。漫画家としてプロデビュー前だった中山は“矢吹れい子”名義で1972年(昭和47年)から1977年(昭和52年)[注 4]まで『日ペンの美子ちゃん』を執筆した[7][注 5]1975年、同スタジオを卒業[2]

また、和田慎二らの同人誌「あぴいる」に参加。1975年(昭和50年)に『高二時代』(旺文社)に「窓からこんにちわ」を掲載。『りぼん』『花とゆめ』などにも投稿した。

月刊プリンセス』の漫画スクールに投稿したところ、編集者の目に止まり "ショート・ストーリーのコメディーを描いてみないか" と誘われて24頁の作品を仕上げ、1977年昭和52年)、秋田書店別冊ビバプリンセス 4月25日春季号』に『ヤーケウッソ物語』が掲載され本格デビュー[注 6]
続いて『月刊プリンセス』でファンタジー作品「はいどうぞ!」「ファンタムーシュ」や、学園ラブコメディ「聖祈苑へようこそ!」などを連載。デビュー当時は、少女向けコミックの世界では読者も編集者も「ファンタジー」という形式を読み解くリテラシーがなく、中山が温めていたハイ・ファンタジーのアイデアは、最初『ヤーケウッソ物語』「はい どうぞ!」などのギャグコメディ作品のキャラクターとして世に出され、その後本格的なハイ・ファンタジー作品を連載した[6]北欧神話ケルト民話J・R・R・トールキンなどの影響の濃い作風で、独自の世界観に基づくハイ・ファンタジーの分野を少女漫画において開拓した。

代表作は、『月刊プリンセス』誌上において16年以上にわたり連載された、「妖精国(アルフヘイム)の騎士」(2005年平成17年)1月号より『プリンセスGOLD』に移動・掲載された)。この作品はライフワークとしている『三剣物語』(みつるぎものがたり)の第三部に相当する。秋田書店や作家本人によって宣伝文句の一つでもあった、いわゆる“Nonstop連載”「妖精国の騎士」本編が、2006年(平成18年)10月16日発売の『プリンセスGOLD』2006年11+12月号(通算238話)にて完結となった。

2007年(平成19年)4月に刊行された「妖精国の騎士」文庫版27巻にて雑誌掲載+数ページ加筆がなされ、本編には『プリンセスGOLD』誌掲載版とコミックス54巻版と文庫27巻版の3種類の完結が並行して存在している事になる。また文庫版26巻・作者本人による「あとがき」5ページ半にて、「妖精国の騎士」は、手塚治虫の「双子の騎士」が着想のヒントになった事も明らかにされた。

2007年(平成19年)、本編完結はしたものの、いくつかの伏線解消がなされていなかったためか、編集部より後日譚4話の読み切り形式での掲載依頼があった。「妖精国の騎士Ballad」と命名され、不定期で『プリンセスGOLD』に掲載完了。しかし、「妖精国の騎士」の双児の兄妹の兄王子ローラント(後の新生アルトディアス国王ローラント1世)と「月魂(つきしろ)の騎士」のハイリオン王子が描き手が同じというだけではなく瓜二つであるため、ダブるのを避けるためにと「月魂の騎士」は執筆が中断されたが、「妖精国の騎士」完結後も「月魂の騎士」の執筆が再開される兆しはない。

2007年(平成19年)9月にYahoo!オークションのページで20年ぶりに『日ペンの美子ちゃん』が特別編として復活した[1]2008年(平成20年)2月29日まで)。

2008年(平成20年)5月9日には日本漫画家協会より、代表作の『妖精国の騎士』に対して、少女漫画として珍しい大長編であることや、作品のボルテージが落ちない様子や絵の美しさが評価され、第37回(2008年度)の「日本漫画家協会優秀賞」を受賞し、翌月の6月14日にグランドプリンスホテル赤坂にて贈賞式が行われた[注 7]

編集委員会の委員長を石ノ森章太郎が務めた『日本漫画家名鑑500』にて、「花冠の竜の国」・「妖精国の騎士」・「フィアリーブルーの伝説」・「魔法使いたちの休日」の4作品の書影を代表作として掲載している(1992年時点[1])。

2020年(令和2年)「妖精国の騎士」正統続編作品として「妖精国の騎士Ballad」「ロビン-風の都の師弟-」「妖精国の騎士Ballad〜金緑の谷(ハリストーク)に眠る竜〜」に続き、「妖精国の騎士Ballad 〜継ぐ視の守護者〜」を連載中。

三剣物語

『三剣物語』は以下の4部構成となっており、三振りの魔剣にまつわる物語が展開する予定となっている。

  • 第1部 三剣創生の物語
  • 第2部『妖精国の騎士』(新書判単行本:全54巻および文庫判:全27巻)
    上述の後日談『妖精国の騎士Ballad』(新書判単行本:全1巻、2007年8月16日発売)
    『妖精国の騎士Ballad』の続編として『ロビン-風の都の師弟-』(新書判単行本:全3巻、『FlexComixフレア』にてweb連載終了)
    『妖精国の騎士Ballad』『ロビン-風の都の師弟-』の続編『妖精国の騎士Ballad〜 金緑の谷 ハリストークに眠る竜〜』(新書判単行本:全5巻)
    『妖精国の騎士Ballad 〜 継ぐ視の守護者 つぐみのもり〜』(新書判単行本:既刊9巻 2025年2月時点[12]、webコミック誌『プチプリンセス』で連載中)
  • 第3部『はるかなる光の国へ』(新書判単行本:全1巻)
  • 第4部予告タイトル『アルディアの炎』

作品化されているものは第2部と第3部のみ。

妖精国(アルフヘイム)

三剣物語をはじめ、中山の殆どの作品に某かの形で登場する妖精国である。この国からの使者は黒い蝙蝠様の羽を持つ“ネコノテ”と呼ばれる猫科の生き物であり、普段は手のみが地面から出ているが、その手を引っぱり上げると猫本体が出現する。様々な有象無象の善悪入り乱れた妖精妖獣達が跳梁跋扈し、幾らかの妖獣は偶に人間界に出没したりしている。尚、この国は極めて厳格な魔法規則に従っている為に、魔法が増幅される『魔法使いたちの休日』と呼ばれる期間には人間界に避難する事もある。作者にとって理想郷(ユートピア)の一つの形であると思われる。

ネリマドール

作者の居住する地が基となった架空世界。作者にとってある種の理想郷(ユートピア)的な世界であり、その名前は公式サイトのタイトルともなっている。様々な作品世界とつながっている、いわば中継地点のような地であると言えるかもしれない。

作品リスト

漫画

秋田書店
  • はいどうぞ!
  • ファンタムーシュ
  • 6月国の王子さま
  • アンリ・ランディの銀の鳥
  • 夏荘の姫君
  • グリフォン・ガーデン
  • 魔法使いたちの休日
  • はるかなる光の国へ
  • フィアリーブルーの伝説
  • 花冠の竜の国[注 8]
    • 花冠の竜の姫君
    • 花冠の竜の国2nd
    • 花冠の竜の国encoreー花の都の不思議な一日ー
  • 聖祈苑(セントイノリエン)にようこそ!
  • ミッドナイト☆シンディ
  • 空の迷宮
  • 13枚綴りのお客人
  • 月魂の騎士
  • 妖精国(アルフヘイム)の騎士
    • 妖精国の騎士Ballad
    • 妖精国の騎士Ballad〜金緑の谷に眠る竜〜
    • 妖精国の騎士Ballad 〜継ぐ視の守護者〜
  • 夜天の星特急
  • エイリエルとエアリアンの詩
  • 招魔の旋律
  • 中山星香セレクション 1 花冠の竜の国へ
  • 中山星香セレクション 2 白魔法使いの集い
  • 中山星香セレクション 3 コイスルオトメ
東京三世社
  • エルブラントの青い瞳
朝日ソノラマ(現朝日新聞出版
  • 東は南 西は北
  • 沈黙の声
  • ゾーイ 水底の恋人
新書館
  • 蒼空にある林苑(ソラニアルモリ)
  • 夜天の星特急
主婦と生活社
  • ボンジュールベースボール
  • 化身の都
宙出版
ソフトバンククリエイティブ
  • ロビン-風の都の師弟-
学研
  • 学研まんが早わかり入門シリーズ3 クッキング入門(監修:林廣美)

共著・企画参加

  • 青池保子『「エロイカより愛をこめて」に愛をこめて!!』秋田書店、2024年(2024年2月25日発行)、51-54頁。ISBN 978-4-253-10694-8 (トリビュート企画本/初出:「ミステリーボニータ」2021年12月号『 薔薇 うるわし 伯爵 エロイカに愛をこめて』)
  • プリンセス編集部 編『「刀剣乱舞-ONLINE-」アンソロジー ー本丸待機中!ー』秋田書店〈プリンセス・コミックスDX〉、2019年10月8日。 ISBN 978-4-253-15319-5。「◆Special Illustration◆ 中山星香」 [13]

画集

秋田書店
  • 薔薇色花月 ロージィ・フラワー・ムーン:中山星香デビュー40周年記念原画集』秋田書店、2018年(2018年3月10日発行)。 ISBN 978-4-253-10135-6 

挿絵

早川書房

その他の活動

  • まんが甲子園 - 第7回から第15回まで審査員をしていた。その後も大会にメッセージを送るなど関わりがある[14]

脚注

注釈

  1. ^ デビュー40周年記念原画集のカバー折り返し「著者紹介」より[3]
  2. ^ p.654に本名・出身地・生年月日・現住所・血液型を記載[1]
  3. ^ 典拠の人名事典発行2003年時点ではp.276に「マンガジャパン」にも所属し広報担当との明記もあるが、2023年現在は公式Webサイトの会員紹介ページに氏名がないので省いた[2]
  4. ^ 1984年(昭和59年)頃まで再利用されていた。
  5. ^ "美子ちゃん"の自宅住所が練馬区春日町という設定は、猪まんがスタジオが所在していた住所から拝借したもの。
  6. ^ 春季号は3月25日発売で、「別冊ビバプリンセス」は当時季刊誌だった[1][8][9]
  7. ^ 第37回・2008年度の「優秀賞」を受賞[10][4][11]
  8. ^ 文庫版は「秋田文庫」から刊行され、2009年8月の時点で全7巻である。しかし、文庫7巻の作者のコメントによるとかつて出版システムの都合なのか、連載中にもかかわらず全2巻と銘打たれていた過去があり、作者希望により文庫版は全7巻という記述はせずに既刊7巻という記述がされている。

出典

  1. ^ a b c d e f 日本漫画家名鑑500編集委員会 1992, p. 654-655.
  2. ^ a b c d 日外アソシエーツ編集部 2003, p. 276.
  3. ^ 『薔薇色花月』 2018, p. 0.
  4. ^ a b 第37回日本漫画家協会賞 浦沢直樹が大賞受賞」『総合アニメニュース:アニメ!アニメ!』株式会社イード、2008年5月10日。2023年12月20日閲覧。
  5. ^ 「花冠の竜の国」コミックス9巻 コーヒー・ブレイク4より
  6. ^ a b 高橋準 『ファンタジーとジェンダー』PP239 - 240、青弓社、2004年
  7. ^ a b 「日ペンの美子ちゃん」特集 服部昇大&中山星香インタビュー”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年5月17日). 2023年12月10日閲覧。
  8. ^ ★ぷろふぃーる”. 漫画家中山星香のHOMEPAGE. 中山星香 (n.d.). 2023年12月20日閲覧。
  9. ^ 中山星香「ヤーケウッソ物語」『別冊ビバプリンセス 1977年4月25日春季号』第2巻第1号、秋田書店、1977年4月25日、399-422頁、全国書誌番号: 00055476 
  10. ^ 日本漫画家協会賞”. 漫画家協会WEB. 日本漫画家協会 (n.d.). 2023年12月20日閲覧。
  11. ^ 「日本漫画家協会賞」大賞に浦沢直樹さんら−やなせたかしさん歌で讃える」『赤坂経済新聞』みんなの経済新聞ネットワーク、2008年6月14日。2023年12月20日閲覧。
  12. ^ 「中山星香」の本・マンガ【新作・新刊順】”. ダ・ヴィンチWeb. KADOKAWA. 2025年2月14日閲覧。
  13. ^ 中山星香ら参戦の「刀剣乱舞」日常アンソロジー第4弾、表紙は大熊ゆうご”. コミックナタリー. ナターシャ (2019年10月8日). 2024年3月15日閲覧。 “日常を綴ったアンソロジーの第4弾”
  14. ^ 中山星香先生からのメッセージ:まんが王国・土佐”. まんが王国・土佐推進協議会 (2013年12月17日). 2024年7月2日閲覧。

参考文献

外部リンク


中山星香

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 09:14 UTC 版)

吾妻ひでお」の記事における「中山星香」の解説

吾妻とは『月刊プリンセス連載時からの顔なじみである。吾妻は『シベール』の創刊準備号に、中山星香が矢吹れいこ名義発表した日ペンの美子ちゃん』のパロディ漫画描いたが、吾妻矢吹れいこが中山星香の別名義であるということ近年まで知らなかったというエピソードがある。

※この「中山星香」の解説は、「吾妻ひでお」の解説の一部です。
「中山星香」を含む「吾妻ひでお」の記事については、「吾妻ひでお」の概要を参照ください。

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