不変部分空間の問題とは? わかりやすく解説

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不変部分空間の問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 23:33 UTC 版)

超準解析」の記事における「不変部分空間の問題」の解説

アブラハム・ロビンソンとアレン・バーンスタイン(Allen Bernstein)は、ヒルベルト空間上のいかなる多項式コンパクト線型作用素不変部分空間を持つことを示すのに、超準解析用いた。これは不変部分空間の問題(invariant subspace problem)を部分的に解決したもので、超準解析による最初期非自明な応用新し定理の証明)である。 ヒルベルト空間 H {\displaystyle H} 上の所与作用素 T {\displaystyle T} に対して、 T {\displaystyle T} の反復による H {\displaystyle H} の点 v {\displaystyle v} の軌道考える。グラム・シュミットの正規直交化法をこの軌道適用することで H {\displaystyle H} の正規直交系 { e i } {\displaystyle \{e_{i}\}} が得られる。いま { H i } {\displaystyle \{H_{i}\}} を H {\displaystyle H} の"座標"部分空間からなる増大列とする。 T {\displaystyle T} の { e i } {\displaystyle \{e_{i}\}} に関する表現行列 { a i , j } {\displaystyle \{a_{i,j}\}} は殆ど上三角almost upper diagonal)、つまり、係数 a i + 1 , i {\displaystyle a_{i+1,i}} だけが対角下(sub-diagonal)に於いてである。バーンスタインロビンソンは、もし T {\displaystyle T} が多項式コンパクトならば、超有限添数 w {\displaystyle w} があって、行列係数 a w + 1 , w {\displaystyle a_{w+1,w}} が無限小となることを示す。次に、 ∗ H {\displaystyle {}^{\ast }H} の部分空間H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} を考える。もし y ∈ ∗ H w {\displaystyle y\in {}^{\ast }H_{w}} が有限なノルムを持つなら、 ∗ T y {\displaystyle {}^{\ast }Ty} は ∗ H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} に無限に近い。 いま T w {\displaystyle T_{w}} を ∗ H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} 上の作用素 P w ∘ T {\displaystyle P_{w}\circ T} とする。ここで P w {\displaystyle P_{w}} は ∗ H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} への直交射影である。 q {\displaystyle q} を q ( T ) {\displaystyle q(T)} がコンパクトとなるような一次上の複素係数多項式とする。部分空間H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} は内的かつ超有限次元である。有限次元複素線形空間における上三角化可能性に対して移行原理適用することで、 ∗ H w {\displaystyle {}^{\ast }H_{w}} の内的な正規直交基 { e k } k = 1 , … , w {\displaystyle \{e_{k}\}_{k=1,\ldots ,w}} を上手く取ることにより、対応する k {\displaystyle k} -次元部分空間 E k {\displaystyle E_{k}} が ∗ T {\displaystyle {}^{\ast }T} -不変となるようにできる。 Π k {\displaystyle \Pi _{k}} で E k {\displaystyle E_{k}} への射影を表すものとする。ある有限ノルムの非ゼロベクトル x ∈ ∗ H {\displaystyle x\in {}^{\ast }H} に対し、 q ( ∗ T ) x {\displaystyle q({}^{\ast }T)x} は非ゼロもしくは | q ( ∗ T ) x | > 1 {\displaystyle |q({}^{\ast }T)x|>1} と仮定して構わない。 q ( T ) {\displaystyle q(T)} がコンパクトであることから、 q ( ∗ T w ) x {\displaystyle q({}^{\ast }T_{w})x} は q ( ∗ T ) x {\displaystyle q({}^{\ast }T)x} に無限に近く、したがって | q ( ∗ T w ) x | > 1 {\displaystyle |q({}^{\ast }T_{w})x|>1} (無限小緩み許せば)であることが分かる。いま j {\displaystyle j} を | q ( ∗ T w ) ( Π j ( x ) ) | < 1 2 {\displaystyle |q({}^{\ast }T_{w})\left(\Pi _{j}(x)\right)|<{\tfrac {1}{2}}} なる最大添字とすれば、 ∗ E j {\displaystyle {}^{\ast }E_{j}} に無限に近い標準元の成す空間望み不変部分空間となる。 バーンスタインロビンソン論文プレプリント読んだ上でポール・ハルモスは彼らの証明標準的な手法以って再解釈した。 どちらの論文Pacific Journal of Mathematics の同じ号に立て続け載っている。ハルモスによる証明使われ幾つかのアイデアは、もっと後のquasi-triangular作用素に関するHalmosの仕事に再び現れている。

※この「不変部分空間の問題」の解説は、「超準解析」の解説の一部です。
「不変部分空間の問題」を含む「超準解析」の記事については、「超準解析」の概要を参照ください。

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不妊手術と安楽死1933年、ドイツにおいて、遺伝的かつ矯正不能のアルコール依存症患者、性犯罪者、精神障害者、そして子孫に遺伝する治療不能の疾病に苦しむ患者に対する強制断種を可能とする法律が立法化された。これはナチス政権において議会の承認なしに制定されたものだが、障害者に対する強制不妊措置の導入をやむを得ないと考える者は社民党内部にも相当数いた。ナチス政権に特徴的だったのは下部組織の自律性や決定権を奪い、政府の管理下に置いたことである。遺伝病や重度のアルコール障害に対する不妊手術を裁判所に申請しなかった場合、医療活動の永久停止を含む処罰が科された。ナチス政権下で実施された不妊手術の件数は36万件から40万件にのぼり、他国に比べてかなり多い。第二次世界大戦が始まった1939年9月に不妊手術は原則として中止され、同時にT4作戦と呼ばれる、精神的または肉体的に「不適格」と判断された人々に対する強制的安楽死政策が開始され、1945年までに少なくとも7万人、多ければ十数万人が死亡した。ただドイツの優生学者のほとんどは安楽死には反対の立場をとっていた。その理由は、次世代への遺伝子継承を阻止するという優生学の目的のためには断種で十分であり、安楽死には人道的な問題があること、そもそも安楽死の対象となるような重度の患者は子供を作らないこと、などであった。安楽死の法制化準備に加わった唯一の優生学者であるフリッツ・レンツは、不治の患者の苦痛を取り除くという、優生学とは別の観点から安楽死を支持した。なお不妊手術の数は1939年以降、大幅に減少したが、終戦まで継続している。レーベンスボルン計画

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