上水道の殺菌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 01:48 UTC 版)
紫外線は効果的な殺ウイルス、殺菌効果を有している。これを排水処理施設のみでなく、上水道の殺菌処理に使用するということが、世界で実施されている。SODISと呼ばれる工程は、スイスの研究機関により広く研究され、少量の水の処理には利用可能であることが証明された。この工程では、汚染された水を透明なプラスチックビンに入れ、6時間強烈な日光を浴びせる。汚染された水は2つの同期した装置においてこの処理を行われ、UVA (波長: 320–400 nm) の照射を受け、水温が上昇する。水温が50度より上昇すれば、殺菌工程は3倍の速度になる。日本では次亜塩素酸ナトリウムによる塩素殺菌を行っているが、1970年代後半から、塩素と水中の有機物の反応によるトリハロメタンによる発ガン性物質の生成が問題となり、紫外線による消毒が注目をあびている。日本の上水道基準はWHO基準より厳しく、発がん性が問題となるほど塩化物は含有されていないが、浄水器メーカーなどが危険性を煽っている事が多い。次亜塩素酸ナトリウムによる水道水の殺菌は、塩素が残っている限り持続するが、紫外線の殺菌は瞬間的であるため、時間経過により細菌が増殖する。特に汲み置きは危険である。 この紫外線殺菌は、紫外線からDNAを守る細胞壁等を持っている原生生物(例えば、ジアルジア)と比較して、むき出しに遺伝情報を持っているバクテリアやウイルスに対して有用であると考えられていた。しかし、近年、紫外線が微生物であるクリプトスポリジウムの駆除に効果的であるということが発見された。その報告結果では、実際に飲料水を処理する方法として、2つの米国の特許と紫外線を利用している。 実験はジアルジアが excystation の状態であるより、infectivity の状態にあるとき、UVCの放射に非常に影響されやすいことが判明した。これにより、原生生物は高照射のUVCに対して耐性があるが、低照射で殺菌されることが判明した。
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