一次元空間におけるラピディティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 08:43 UTC 版)
「ラピディティ」の記事における「一次元空間におけるラピディティ」の解説
ラピディティ φ はローレンツブーストの行列積による表式 ( c t ′ x ′ ) = ( cosh φ sinh φ sinh φ cosh φ ) ( c t x ) = Λ ( φ ) ( c t x ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}ct'\\x'\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}\cosh \varphi &\sinh \varphi \\\sinh \varphi &\cosh \varphi \end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}ct\\x\end{pmatrix}}={\boldsymbol {\Lambda }}(\varphi ){\begin{pmatrix}ct\\x\end{pmatrix}}} に現われる。行列 Λ(φ) は ( p q q p ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}p&q\\q&p\end{pmatrix}}} のような対称行列で、かつ p と q が p2 − q2 = 1 を満たすような行列であり、したがって点 (p, q) は単位双曲線の上に乗り、双曲線関数で表現することができる。このような行列全体は、単位反対角行列によって張られるリー代数を持つ不定値直交群 O(1,1)(英語版)を成す。この作用は時空図上に表現することができる。行列指数関数の記法を用いると、 Λ(φ) = eZφ のように表わすことができる。ここで、 Z は単位反対角行列 Z = ( 0 1 1 0 ) {\displaystyle {\boldsymbol {Z}}={\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}}} である。また、以下の式は簡単に示すことができる。 Λ ( φ 1 + φ 2 ) = Λ ( φ 1 ) Λ ( φ 2 ) {\displaystyle {\boldsymbol {\Lambda }}(\varphi _{1}+\varphi _{2})={\boldsymbol {\Lambda }}(\varphi _{1}){\boldsymbol {\Lambda }}(\varphi _{2})} この式により、ラピディティの有用な特性である、加法性が確立される。すなわち、A, B, C を基準系とし、 基準系 P からみた基準系 Q のラピディティを φPQ と表わすものとすると、次の式が成り立つ。 φ AC = φ AB + φ BC {\displaystyle \varphi _{\text{AC}}=\varphi _{\text{AB}}+\varphi _{\text{BC}}} この式の単純さは、相対論的な速度の合成則(英語版)とは対照的である。 上で示したようなローレンツ変換は、ローレンツ因子 γ = 1 1 − v 2 / c 2 ≡ cosh φ {\displaystyle \gamma ={\frac {1}{\sqrt {1-v^{2}/c^{2}}}}\equiv \cosh \varphi } と一対一対応するため、 φ {\displaystyle \varphi } は γ と β を用いたローレンツ変換の表式に暗黙のうちに用いられていると考えることもできる。速度の合成則 u = ( u 1 + u 2 ) / ( 1 + u 1 u 2 / c 2 ) {\displaystyle u=(u_{1}+u_{2})/(1+u_{1}u_{2}/c^{2})} にも、 β i = u i c = tanh φ i {\displaystyle \beta _{i}={\frac {u_{i}}{c}}=\tanh {\varphi _{i}}} および、 tanh φ = tanh φ 1 + tanh φ 2 1 + tanh φ 1 tanh φ 2 = tanh ( φ 1 + φ 2 ) {\displaystyle {\begin{aligned}\tanh \varphi &={\frac {\tanh \varphi _{1}+\tanh \varphi _{2}}{1+\tanh \varphi _{1}\tanh \varphi _{2}}}\\&=\tanh(\varphi _{1}+\varphi _{2})\end{aligned}}} を用いることにより関連づけることができる。 固有加速度(英語版)(加速を受けている物体が「感じる」加速度)は、固有時(加速を受けている物体から測った時間)あたりのラピディティの変化率で表わすことができる。従って、ある慣性系において非相対論的な加速度を静止状態から一定の速度に達するまでにかかる時間で割って求めるのと同様に、ある基準系で測ったある物体のラピディティをその物体の速度の代わりに用いることができる。 ドップラーシフト(英語版)因子とラピディティ φ との間の関係式は、k = eφ と表わされる。
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