一心会事件の台頭と発達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 06:55 UTC 版)
「一心会事件」の記事における「一心会事件の台頭と発達」の解説
2006年10月24日、ソウル地方検察庁公安1部は、中華人民共和国で、北朝鮮の工作員と接触した容疑(会合通信)で、民主労働党前中央委員であるイジョンフン、個人事業家チャンミノ、学校長ソンチョンモクを逮捕した。検察庁と国家情報院は、イジョンフンが2006年3月在野政治家2人と共に中国に出国し、現地で工作活動に従事してきた北朝鮮系の人物と会い、密談を交わしたと見られる。これに対し民主労働党は、「国家情報院がイジョンフンを逮捕しながら工作員と接触したというだけの如何なる具体的な状況も示されていない。米朝間の鋭い対決と、南北間の膠着局面に発生したこの事件は、新たに政治弾圧の雰囲気を作り出し、反北、反統一の雰囲気を作り出そうという国家情報院による陰謀である」という内容の声明を発表し、反発を強めた。 いっぽう、捜査の過程で、公安当局が事務室を家宅捜索しながら、民主労働党の崔基永(チェ・ギヨン)事務副総長(1993年兄弟スパイ事件で逮捕された金銀周の夫。金銀周の兄金三石の妻は元正義連代表の尹美香)と、開かれたウリ党所属議員の補佐官、市民団体関係者などを書き記したメモが発見され、事件の規模が拡大し始めた。当局の許可なく北朝鮮を3回訪問した前歴があるチャンミノが固定スパイとして活動していたことで疑いをかけられ、この事件の核心人物となった。結局チャンミノが北朝鮮訪問時に忠誠誓約をし、朝鮮労働党に入党したという事実が明らかになり、行動を共にした容疑で、民主労働党事務副総長チェギヨンと、チャンミノが経営する会社の職員であるイジンガンが追って拘束された。または、この事件によって金昇圭(朝鮮語版)国家情報院長(当時)が辞任を表明した。 2007年12月13日、大法院は一心会事件の首謀者とされたチャンミノに、懲役7年、追徴金1900万ウォン、資格停止7年の判決を下した。下級審が確定しながら、共に起訴されたイジョンフンとソンジョンモクには各々懲役3年と4年を、イジンガンに懲役3年を、チェギヨン民主労働党事務副総長に懲役3年6ヶ月を言い渡し、下級審を確定させた。大法院は、「北朝鮮が国家保安法上、反国家団体に該当するとした下級審の判断は、国家の安定と、国民の生存および自由の確保を目的とした国家保安法を、違憲と見ることはできない」として、「これを前提に、被告人たちに有罪を宣告し、下級審の判断を正当と見做す」とした。
※この「一心会事件の台頭と発達」の解説は、「一心会事件」の解説の一部です。
「一心会事件の台頭と発達」を含む「一心会事件」の記事については、「一心会事件」の概要を参照ください。
- 一心会事件の台頭と発達のページへのリンク