ヴァイオリンソナタ(遺作)イ短調
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「ヴァイオリンソナタ (ラヴェル)」の記事における「ヴァイオリンソナタ(遺作)イ短調」の解説
『ヴァイオリンソナタ(遺作)(フランス語: Sonate Posthume, pour violon et piano)イ短調』は、ラヴェルが22歳、アンドレ・ジェダルジュの元で対位法とオーケストレーションを個人的に学んでいた時期の作品であり、自筆譜には「1897年4月」の日付がある。単一楽章で、古典的なソナタ形式により書かれている。演奏時間は約16分。 作曲の経緯は不明で初演の記録も残っていない。ただし、1929年にラヴェルがヴァイオリニストのポール・オベルデルフェール( Paul Oberdoerffer )の記念帳に記した「未完のヴァイオリンソナタ第1番(18・・)の初演の思い出に」という一文が残っていることから、このオベルデルフェールとラヴェルが初演を行ったものと考えられている。また「未完の」という表現が用いられていることから、この曲がもともとは複数の楽章からなる作品として構想されていたことも窺える。楽譜の出版はおろか再演された記録も残っておらず、作品の存在は永らく知られていなかったが、ラヴェルの生誕100周年にあたる1975年にニューヨークにおいて蘇演され、サラベール社から楽譜が出版された。 作品にはガブリエル・フォーレの『ヴァイオリンソナタ第1番』(1876年)やセザール・フランクの『ヴァイオリンソナタ』(1886年)、あるいは当時パリに住んでいたフレデリック・ディーリアスの作曲様式からの影響が窺えるが、一方ではラヴェル特有の叙情性や和声の特徴も見られ、冒頭の主題やその展開方法には後年の『ピアノ三重奏曲 イ短調』(1914年)との類似が指摘されている(譜例を参照)。 ヴァイオリンソナタ(遺作)の冒頭 ピアノ三重奏曲の冒頭(旋律線のみを示し、和音は省略してある。)
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