ワルツフォーデビイとは? わかりやすく解説

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ワルツ・フォー・デビイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/31 05:03 UTC 版)

Waltz for Debby
ビル・エヴァンスライブ・アルバム
リリース
録音 1961年6月25日 ニューヨーク
ジャンル ジャズ
時間
レーベル リバーサイド・レコード
プロデュース オリン・キープニュース
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 176位(オリコン、2007年盤[1]
  • 126位(オリコン、2014年盤[2]
  • ゴールドディスク
  • ゴールド(日本レコード協会
  • テンプレートを表示

    ワルツ・フォー・デビイ』(Waltz for Debby)とは、ジャズピアニストビル・エヴァンスが、1961年にヴィレッジ・ヴァンガードで行ったライブを収録したアルバム。現行CDでは、ボーナス・トラックが4テイク追加されている。

    解説

    ビル・エヴァンス・トリオは、1961年当時、ライブハウスの「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライブをしばしば行っていた。1961年6月にも連続ライブが行われ、最終日に当たる6月25日のライブは、リバーサイド・レコードによって特にライブ録音されていた。

    しかし、それから11日後の7月6日、ビルにとって片腕とも言えるベーシストスコット・ラファロが交通事故で他界し、リバーサイドのライブ録音は、スコット・ラファロの生涯で最後の公式な録音となった。リバーサイド・レコードは、この日の演奏のうち、スコットのベース・プレイが目立っているものを『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』という追悼盤として先行発売し、残りのテイクを本作に収録したとされている。

    しかし、対となる本作でも随所でスコットのベース・ソロを聴くことができ、エヴァンス・トリオのプレイにおいてスコットの貢献が大きかったことを証明している。現在では、ビル独特の思索的なピアノ・プレイが味わえる作品として、エヴァンス/ラファロ/ポール・モチアンのベスト・トリオによる作品で『ポートレイト・イン・ジャズ』と並び称される作品として位置づけられている。

    ヴァンガード音源でラファロ色の強いナンバーが姉妹作の『サンデイ・アット――』に委ねられた分、本盤の収録曲はエヴァンス寄りの色彩が強くなり、リバーサイドのプロデューサーであるオリン・キープニュースの選択眼が生きることになった。

    「マイルストーンズ」は、旧友マイルス・デイヴィスの同名アルバム収録曲のカバー。巻頭に置かれた「マイ・フーリッシュ・ハート」は本来同名映画(『愚かなり我が心』1949年)の主題曲であるが、このアルバムのバージョンでは通常ジャズ解釈の難しいナンバーを美しいジャズバラードとして演奏しており、同曲最良のカバーに数えられる。他にも、エヴァンスが生涯愛奏したロジャース&ハートのスタンダード「マイ・ロマンス」など、エヴァンス好みのナンバーが並ぶ。

    アルバムジャケットも美しく、黒と紫を基調に、女性の横顔とおぼしいぼやけたシルエットを浮かばせた端正なデザインとなっている。

    日本でのヒット

    日本では特に大ヒットし、LPやCDを含めた日本での累計売上は約50万枚に達する[3]。日本のユニバーサルミュージックが2014年10月から期間限定で1枚1000円(税別)で販売したジャズカタログのシリーズ『ジャズの100枚。』においても本作が売上トップを記録した[4]2016年4月には日本レコード協会からゴールドディスクに認定されている[5]

    2016年9月28日には、「録音55周年記念完全生産限定クリスタル・ディスク」が1セット20万円(税別)で販売され、同年末までに50セットを売り上げた[6]

    ワルツ・フォー・デビイ

    音楽・音声外部リンク
    Bill Evans - Waltz for Debby (1956), YouTube
    Bill Evans - Waltz for Debby (Take 2) (1961), YouTube

    タイトル曲「ワルツ・フォー・デビイ」は、元々エヴァンスが1956年に作り、初リーダーアルバム「ニュー・ジャズ・コンセプション」にソロ収録された曲で、当時まだ2歳で幼かったビルの姪デビイに捧げられたものであるが、広く知られたのはこのライブアルバムでの演奏による。エヴァンスのオリジナルとして特に広く知られ、愛らしい曲調のジャズ・スタンダードとして親しまれている。このライブ盤では快活なリズムで演奏され、前奏はワルツタイムであるものの、インテンポに入ると4拍子で演奏されている。

    ドキュメンタリー映画『Time Remembered:Life & Music of Bill Evans』の中で、デビイ・エヴァンス氏は、「幼い頃、よく目の前で(「ワルツ・フォー・デビイ」を)弾いてくれた」と語っていた。

    ジョン・マクラフリントゥーツ・シールマンス渡辺香津美など、多くのミュージシャンがカバー曲として取り上げた。ビル・エヴァンス本人が参加したものとしては、キャノンボール・アダレイのアルバム『ノウ・ホワット・アイ・ミーン?』がある。

    歌曲としては、エヴァンスと親しかったジャズ評論家ジーン・リースが英語歌詞を作詞しており、これが正式な歌詞となっている。トニー・ベネットがビル本人との共演盤で歌い、サラ・ヴォーンも取り上げている。また、スウェーデンの歌手モニカ・ゼタールンドが、スウェーデンを訪れたビル本人をバックに従え、自作スウェーデン語歌詞の「モニカのワルツ」と改題して発表したバージョンが知られている。2008年には、日産・ティアナCMソングとして土岐麻子が歌った。

    収録曲

    7.-10.はボーナス・トラック。

    なお、現在ではオリジナルの曲順の後にボーナス・トラックが続く盤と曲順が変更されボーナス・トラックが途中に挟まれている盤、ボーナス・トラックを含まないオリジナルの曲目通りの盤の大きく分けて3種類のCDが市販に出回っている。2019年現在最新のCD(UCCO-40031)は3つ目のバージョンである。

    1. マイ・フーリッシュ・ハート - My Foolish Heart(Ned Washington, Victor Young
    2. ワルツ・フォー・デビイ(テイク2) - Waltz for Debby (Take 2) (Bill Evans)
    3. デトゥアー・アヘッド(テイク2) - Detour Ahead (Take 2) (Herb Ellis, John Frigo, Lou Carter)
    4. マイ・ロマンス(テイク1) - My Romance (Take 1) (Lorenz Hart, Richard Rodgers
    5. サム・アザー・タイム - Some Other Time(Leonard Bernstein, Adolph Green, Betty Comden)
    6. マイルストーンズ - Milestones(Miles Davis)
    7. ワルツ・フォー・デビイ(テイク1) - Waltz for Debby (Take 1) (Bill Evans)
    8. デトゥアー・アヘッド(テイク1) - Detour Ahead (Take 1) (Herb Ellis, John Frigo, Lou Carter)
    9. マイ・ロマンス(テイク2) - My Romance (Take 2) (Lorenz Hart, Richard Rodgers
    10. ポーギー(アイ・ラヴズ・ユー、ポーギー) - Porgy (I Loves You, Porgy) (Ira Gershwin, Dubose Heyward, George Gershwin

    演奏メンバー

    脚注

    関連項目

    • 大停電の夜に - 2005年の日本映画。本作収録の「マイ・フーリッシュ・ハート」がモチーフとして使用され、アルバム自体も劇中に登場。

    ワルツ・フォー・デビイ

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 06:00 UTC 版)

    「ワルツ・フォー・デビイ」の記事における「ワルツ・フォー・デビイ」の解説

    タイトル曲「ワルツ・フォー・デビイ」は、元々エヴァンス1956年作り、初リーダーアルバム「ニュー・ジャズ・コンセプション」にソロ収録された曲で、当時まだ2歳幼かったビルの姪デビイに捧げられたものであるが、広く知られたのはこのライブアルバムでの演奏よる。エヴァンスオリジナルとして特に広く知られ愛らしい曲調ジャズ・スタンダードとして親しまれている。このライブ盤では快活なリズム演奏され前奏はワルツタイムであるものの、インテンポに入ると4拍子演奏されている。 ドキュメンタリー映画Time RememberedLifeMusic of Bill Evans』の中で、デビイ・エヴァンス氏は、「幼い頃、よく目の前で(「ワルツ・フォー・デビイ」を)弾いてくれた」と語っていた。 ジョン・マクラフリントゥーツ・シールマンス渡辺香津美など、多くミュージシャンカバー曲として取り上げたビル・エヴァンス本人参加したものとしては、キャノンボール・アダレイアルバム『ノウ・ホワット・アイ・ミーン?』がある。 歌曲としては、エヴァンス親しかったジャズ評論家ジーン・リースが英語歌詞作詞しており、これが正式な歌詞となっている。トニー・ベネットビル本人との共演盤で歌いサラ・ヴォーン取り上げている。また、スウェーデン歌手モニカ・ゼタールンドが、スウェーデン訪れたビル本人バック従え自作スウェーデン語歌詞の「モニカワルツ」と改題して発表したバージョン知られている。2008年には、日産・ティアナCMソングとして土岐麻子歌った

    ※この「ワルツ・フォー・デビイ」の解説は、「ワルツ・フォー・デビイ」の解説の一部です。
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