ロフタスなどによる批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 14:07 UTC 版)
「抑圧された記憶」の記事における「ロフタスなどによる批判」の解説
抑圧された記憶には批判も少なくない。特に1990年代にエリザベス・ロフタスらが回復記憶セラピーにおいて虚偽記憶が作り出されている可能性を指摘したことで、このような記憶が本当に実在するのか疑惑が上がった。催眠療法などで回復したとされる記憶の中には悪魔的儀式虐待の話など、信憑性が薄い記憶も良く見られることが指摘されていた。そのため、下手をするとアメリカではこのような治療を行った場合免許証が取り消される可能性がある。この記憶に関する批判には、回復記憶セラピーにより記憶が捏造された事を反証として述べる場合がある。 虚偽記憶の可能性のために、司法の場ではこの記憶は信憑性がないとみなされる場合も少なくない。多くの裁判所はこのような訴えでも、厳密に審議されなければならない事は認めているのであるが、さほど実態には即していない。しばしば陪審員は加害者側に味方することがあった。 抑圧された記憶を主張する論者であっても、忘れようとしているだけであるとか、普通に想起しているだけであるとか、トラウマ記憶以外を忘れているのだなどの様々な解釈があり、ロフタスは自分自身のわずかな体験を文化的ナラティブに当てはめようとして起こるのだと主張している。 また、多くのトラウマ被害者はその記憶を抑圧せず、むしろ何をしても頭から離れないものだという事も反論となる。しかし、これに関しては性的虐待のトラウマの質が「秘密」に包まれたものであり全く違うという反論がある。しかし、それならばなぜ全ての性的虐待記憶が抑圧されないのかという反論がこれになされる。だが、そういった事例はあるという反論もこれにはある。だがさらに、これに事例のみならず確証がもてるような証拠を出せるかといえば、やはり存在しないのではないかとも言われる。 なお、精神障害と近親姦の関連を指摘する文献が爆発的に増えたため、1994年には「米国精神医学学会誌」(American Journal of Psychiatry)はわざわざ全ての精神障害が虐待的父親のせいだとは限らないと念を押した。また、実際に抑圧された記憶があったとしても、完全な形で取り出すことができるか、記憶の正しさの度合いをどのようにして判別するかという問題がある。実際PTSD症状が激しい場合記憶の詳細が乱れるケースが多いため、存在したとしてもまともな記憶の形をとれない可能性もある。
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