リゼルグ酸アミドとは? わかりやすく解説

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エルギン

分子式C16H17N3O
その他の名称リセルガミド、Lysergamide、(+)-リセルグアミド、リセルグ酸アミド、エルギン、リセルグアミド、(+)-Lysergamide、Lysergic acid amide、LA-III、LAErgine、リゼルグ酸アミド、9,10-Didehydro-6-methylergoline-8β-carboxamide
体系名:9,10-ジデヒドロ-6-メチルエルゴリン-8β-カルボアミド


リゼルグ酸アミド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/13 15:21 UTC 版)

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リゼルグ酸アミド
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
法的規制
投与方法 Oral, Intramuscular
薬物動態データ
代謝 肝臓
排泄 尿
識別
CAS番号
478-94-4
ATCコード none
PubChem CID: 442072
ChemSpider 390611 
ChEMBL CHEMBL227213 
別名 LSA, d-lysergic acid amide, d-lysergamide, Ergine, and LA-111
化学的データ
化学式 C16H17N3O
分子量 267.326 g/mol

リゼルグ酸アミド(リゼルグさんアミド、d-lysergic acid amide:略称LSA)は、アルカロイドの一種で、向精神作用をもつ幻覚剤の一つである。エルジン(Ergine)とも呼ばれる。リゼルグ酸アミドは、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)と科学的に近い構造をもつ。向精神薬としての効力は、LSDの5~10%である[2]

LSAは、LSDを合成したことで有名な科学者のアルバート・ホフマンが1930年代に行ったLSDを合成する研究の際に合成していた物質である[3]。LSAは、南メキシコ原住民が儀式に使用するリベア・コリボサ(タービナ・コリボサまたはスネーク・プラント)という学名のヒルガオの種子に含まれ、この種子はアステカの言葉ではオロリウキと呼ばれる[4]。LSAは、1959年にアルバート・ホフマンによってオロリウキから分離された[5]。ホフマンによれば、専門的な化学者でなくとも容易に合成できるものである[3]

ほかのヒルガオでは、俗にハワイアン・ベイビーウッドローズと呼ばれるギンヨウアサガオ(オオバアサガオ)にも含まれている[2]ソライロアサガオにも含まれ、ヘブンリー・ブルー、パーリー・ゲート、フライング・ソーサーといった品種に含まれている[2]。種子を粉末にして飲料に混ぜて飲むことでLSDと同様の体験が起こるが、副作用として吐き気や下痢を伴う[2]。LSDを100mg相当に換算する場合、オロリウキの種子では10個、ハワイアン・ウッドローズの種子では4~8個とされる[2]

また、LSAは地中海エレウシス周辺の池に生息する麦角菌にも含まれ[6]、1960年にホフマンがオーストラリアシドニーで開催された国際純正・応用化学連合(IUPAC)でこの発見について発表した際には、原始的な菌種と植物というかけ離れた科に含まれることから、はじめはその発表が信用されなかったという経緯がある[3]

菌類と植物というかけ離れた種の謎は後に解き明かされることになる。1992年12月号の『ディスカバー英語版』誌にて、アメリカ大陸に原生する雑草のAchnatherum robustum(スリーピー・グラス)からもリゼルグ酸アミドは発見されたことが記され、この植物に共生する菌がリゼルグ酸アミドを産生し、共に進化してきたために種子の状態から菌は共生している[7]。また2000年代にはIpomoea asarifolia英語版の葉の分泌腺に生息する lasaF 13 と命名された菌類が、トリプトファンをプレニル化させる触媒となるジメチルアリル・トリプトファン合成酵素のための遺伝子に似たものを持っており、麦角アルカロイドを合成しており、また、この菌は種子に潜んで伝搬されていることが判明した[8]。続いてタービナ・コリボサから菌のTcorF O1が見つかり、これらは麦角菌とは異なる系統であることが判明したため、新たにPeriglandu属という分類が設けられ、P.ipomoeae、'P.turbinaeと命名された[8]

出典

  1. ^ Erowid (04-15-07). “Erowid Morning Glory Basics”. 2007年4月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。ISBN 978-4875023210。32頁。Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979.
  3. ^ a b c A.ホッフマン 1984, p. 157.
  4. ^ A.ホッフマン 1984, p. 149.
  5. ^ A.ホッフマン 1984, p. 152.
  6. ^ 「LSDの父吠える A・ホフマン」遠藤徹訳『ユリイカ』 1995年12月、72-80頁。
  7. ^ ジム・デコーン 1996, pp. 168-170.
  8. ^ a b 秋山卓美「ヒルガオ科植物中のLSD様化合物の謎が明らかに!」、『ファルマシア』第48巻第8号、2012年、 792-792頁、 doi:10.14894/faruawpsj.48.8_792NAID 110009901166

参考文献

  • A.ホッフマン、堀正訳、榎本博明訳、福屋武人監訳 『LSD-幻想世界への旅』 新曜社、1984年ISBN 4788501821LSD-MEIN SORGENKIND, 1979.
  • ジム・デコーン 『ドラッグ・シャーマニズム』 竹田純子、高城恭子訳、1996年ISBN 4-7872-3127-8Psychedelic Shamanism, 1994.

リゼルグ酸アミド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/27 10:24 UTC 版)

エルゴリン」の記事における「リゼルグ酸アミド」の解説

詳細は「リゼルグ酸アミド」を参照 リゼルグ酸アミド エルゴメトリン メチルエルゴメトリン メチルセルジド LSD リゼルグ酸ヒドロキシエチルアミド これらの化合物の間の関係は、以下の構造式置換基の表にまとめられている。 名前R1R2R3リゼルグ酸アミド H H H エルゴメトリン H CH(CH3)CH2OH H メチルエルゴメトリン H CH(CH2CH3)CH2OH H メチルセルジド CH3 CH(CH2CH3)CH2OH H LSD H CH2CH3 CH2CH3

※この「リゼルグ酸アミド」の解説は、「エルゴリン」の解説の一部です。
「リゼルグ酸アミド」を含む「エルゴリン」の記事については、「エルゴリン」の概要を参照ください。

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