リゼルグ酸とは? わかりやすく解説

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リセルグ酸

分子式C16H16N2O2
その他の名称リセルグ酸、Lysergic acid、9,10-Didehydro-6-methylergoline-8β-carboxylic acid、d-リセルグ酸、リゼルグ酸、(+)-Lysergic acid、(+)-リセルグ酸、d-Lysergic acid、(+)-リゼルグ酸、(5β)-9,10-Didehydro-6-methylergoline-8β-carboxylic acid
体系名:9,10-ジデヒドロ-6-メチルエルゴリン-8β-カルボン酸、(5β)-9,10-ジデヒドロ-6-メチルエルゴリン-8β-カルボン酸


リゼルグ酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/22 18:09 UTC 版)

リゼルグ酸
識別情報
CAS登録番号 82-58-6 
[478-95-5],
[6915-32-8],
[23953-76-6],
[68985-97-7],
[68985-98-8]
ChemSpider 6461 
ChEBI CHEBI:6604 
特性
化学式 C16H16N2O2
モル質量 268.31 g mol−1
融点

238 - 240 °C

酸解離定数 pKa pKa1 = 7.80, pKa2 = 3.30 [1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

リゼルグ酸(Lysergic acid)は、麦角菌が生産し、ツルビナ、ギンヨウアサガオ、ソライロアサガオ等の種子でも見られるエルゴリンアルカロイドの前駆体である。

リゼルグ酸のアミドであるリゼルグ酸アミドは、医薬品幻覚剤として幅広く用いられている。リゼルグ酸は、様々な麦角菌(ergot)のアルカロイドの分解物(lysis)であることから、命名された[2]

合成

リゼルグ酸は、一般には、天然に存在する様々なリゼルグ酸アミドを加水分解することにより生成されるが[3]、例えば1956年のロバート・バーンズ・ウッドワードによるもの等、複雑な方法で全合成することもできる[4]パラジウム触媒によるドミノ環化反応に基づくエナンチオ選択性を持つ全合成は、2011年に藤井信孝と大野浩章によって報告された[5]。リゼルグ酸一水和物は、水から再結晶すると、非常に薄い小六角形状に結晶化する。リゼルグ酸一水和物を2 mmHg、140℃で乾燥させると、無水リゼルグ酸となる。生合成経路では、トリプトファンジメチルアリル二リン酸とともにアルキル化することで、S-アデノシルメチオニンでN-メチル化された4-ジメチルアリル-L-トリプトファンとする。酸化的閉環の後に、脱炭酸、還元、環化、酸化、アリル異性化することで、D-(+)-リゼルグ酸が得られる[2]

異性体

リゼルグ酸は、2つのキラル中心を持つキラルな化合物である。カルボキシル基近くの8番炭素の配置が逆のものは、イソリゼルグ酸、窒素原子近くの5番炭素の配置が逆のものは、それぞれ、L-リゼルグ酸L-イソリゼルグ酸と呼ばれる。リゼルグ酸は、麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約の表1前駆物質にリストされている[6]

リゼルグ酸異性体の構造

関連項目

出典

  1. ^ Brown, H.C. et al., in Braude, E.A. and F.C. Nachod. Determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955.
  2. ^ a b Schiff PL (Oct 15, 2006). “Ergot and its alkaloids”. Am J Pharm Educ. 70 (5): 98. doi:10.5688/aj700598. PMC 1637017. PMID 17149427. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1637017/?tool=pmcentrez. 
  3. ^ Martínková L, Kren V, Cvak L, Ovesná M, Prepechalová I (Nov 17, 2001). “Hydrolysis of lysergamide to lysergic acid by Rhodococcus equi A4”. J Biotechnol. 84 (1): 63–6. doi:10.1016/s0168-1656(00)00332-1. 
  4. ^ Edmund C. Kornfeld, E.J. Fornefeld, G. Bruce Kline, Marjorie J. Mann, Dwight E. Morrison, Reuben G. Jones and R.B. Woodward (1956). “The Total Synthesis of Lysergic Acid”. Journal of the American Chemical Society 78: 3087–3114. doi:10.1021/ja01594a039. 
  5. ^ S. Inuki, A. Iwata, S. Oishi, N. Fujii and H. Ohno, J. Org. Chem. 2011, 76 (7), pp 2072–2083, doi:10.1021/jo102388e.
  6. ^ List of Precursors and Chemicals Frequently Used in the Illicit Manufacture of Narcotic Drugs and Psychotropic Substances Under International Control, International Narcotics Control Board


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