(2) ライセンス許諾と著作物へのアクセス向上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 14:17 UTC 版)
「デジタル単一市場における著作権に関する指令」の記事における「(2) ライセンス許諾と著作物へのアクセス向上」の解説
上述の制限・例外ケースに該当しなかったとしても、著作権者から許諾を取れば著作物を第三者が利用できる。しかしどの著作物の権利を誰が持っているのか、そして利用料はどのように支払うのかが不透明では、せっかく創作された著作物が社会で利用されずに埋没してしまう。そこで、著作権者と利用者を円滑に結びつける窓口として、著作権管理団体 (英: collective management organizations、略称: CMO) の役割がDSM著作権指令でも規定されている。CMOは一般的に、書籍や音楽など著作物の業界ジャンルごとに複数存在し、著作権者の代わりにライセンス料の決済・分配を集中的に担っている。例えばフランス著作権法のように、既にCMOの組織運営や許諾に関する手続などが細かく成文化されている国もEUには存在する (知的財産法典(フランス語版) 第1部 L321条-1以降)。これは元々、2014年の著作権集中管理指令 (2014/26/EU) に対応したものであり、DSM著作権指令がこれを継承している。 DSM著作権指令において、CMOは絶版となった著作物の複製・頒布・公衆伝達を非営利目的で行うため、これらの著作物を管理する文化遺産機関との間で非独占ライセンス契約を締結できると定められている。利用にあたっては著作者の氏名を表示する必要があるものの、非営利であればウェブサイトにも公開できる。ただし、映画やテレビ番組などの視聴覚著作物の著作者が第三国に本拠を構えている場合や、視聴覚著作物以外で第三国で最初に公表されたものについては、このようなライセンス契約の定めの対象外となる (第8条)。また、ライセンス許諾を付与する文化遺産機関は、EU加盟国内で設立されていることが条件となる (第9条)。 ビデオ・オン・デマンド (VOD) 型の映像コンテンツ配信に関しても特別規定が設けられている。コンテンツ配信のライセンス許諾上に問題が生じた場合は、中立機関または仲裁機関に紛争解決を付託することができ、その詳細手続はEU加盟各国の国内法で定めることができる (第13条)。
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