メルビン・ラーナー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:25 UTC 版)
ラーナーは自らの研究をスタンレー・ミルグラムによる服従実験の延長線上に位置づけ、ネガティブな方面での社交的・社会的な相互作用に関する社会心理学的な研究としての文脈で、公正世界信念と公正世界仮説に関する研究を行おうとした。彼は民衆に恐怖と苦しみを与える政体がどうやって民衆の支持を維持しているか、そして悲劇と苦しみを生むだけの社会的規範と法律を民衆はどうやって受け入れているか、という疑問に対する答えを見出した。 ラーナーの研究は、犠牲者が受けている苦痛に関して犠牲者を非難する第三者を何度も目撃したことに影響されている。彼は心理学者としての臨床研修の間に、一緒に働いていたある医療従事者による精神障害者の治療を観察した。彼は心の優しい、教育を受けた人であったことをラーナーは知っていたが、にもかかわらず、病気のことでしばしば患者を軽蔑した。ラーナーはまた、自分の学生が、明らかに構造的暴力の犠牲者であるところの貧困者を蔑む言葉を聞いた時の驚きを記している。また、報酬に関する実験で、二人の被験者のうちランダムに選ばれたどちらか一人が仕事の報酬を受け取るという実験をした時、報酬を受け取る方はどちらかランダムに選ばれることを事前に通知しているにも関わらず、報酬を受け取った被験者は、実験者が自分のことをもう一人の被験者よりも好意的に評価してくれていると考えた。認知的不協和など、これまでに存在した社会心理学の理論ではこれらの現象を説明できなかった。これらの現象の原因となったプロセス(こんにちでは「公正世界信念」と呼ばれている)を理解したいと思ったラーナーは、彼の最初の実験を行うに至った。
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