メルセデス・ベンツ_L4500とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > メルセデス・ベンツ_L4500の意味・解説 

メルセデス・ベンツ L4500

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/29 13:52 UTC 版)

メルセデス・ベンツ L4500 A/S
メルセデス・ベンツ L4500 S
ジンスハイム自動車・技術博物館
基礎データ
全長 7,860 m
全幅 2.350 m
全高 3.345 m
重量 10.4 t
乗員数 2名
装甲・武装
装甲 なし
主武装 なし
機動力
速度 66 km/h
エンジン メルセデス・ベンツOM67/4 水冷直列6気筒ディーゼルエンジン 7.3 L
112 hp(82KW
懸架・駆動 全輪駆動、または後輪駆動
行動距離 約500 Km
テンプレートを表示

メルセデス・ベンツ L4500(Mercedes-Benz L4500)は、1939年から生産された水冷直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載したダイムラー・ベンツAGのペイロード4.5トントラック。2つの駆動方式(A:全輪駆動、S:後輪駆動)が1945年まで製造された。L4500 Aは1941年から1944年まで[1]、L4500 Sはダイムラー・ベンツで1944年まで[1]オーストリアザウラーで1944年から1945年まで[2]合計11,150台以上が製造された[1][注釈 1]

概要

1939年に策定されたドイツ国防軍のシェル・プランドイツ語版は戦争経済のための戦略的な準備であり、その目的は軍の車両群の保守と修理を簡素化することと、自動車とトラックの種類を大幅に削減し、それらのコンポーネントの標準化を通じて生産を効率化することだった。 1940年1月1日に発効したこの計画によりトラックの車種数が114車種から19車種に統合されたが[3]、ダイムラー・ベンツは下表の様に、3トン、4.5トン、6.5トンの生産を担当した[注釈 2]

1940年1月1日時点でのシェル計画のトラック生産区分[3]
1.5トントラック 3トントラック 4.5トントラック 6.5トントラック
オペル オペル ダイムラー・ベンツ ダイムラー・ベンツ
フェノーメン ドイツ・フォード ビュッシング-NAG MAN
シュタイアー ボルクヴァルト ザウラー クルップ
- ダイムラー・ベンツ ヘンシェル フォマーク
- マギルス(KHD) マギルス(KHD) -
- MAN MAN -

既存の民生用トラックをベースに製作された簡易ハーフトラック・マウルティア(Sd.Kfz.3)が、戦争中盤以降多用されるようになった。1942年、3トントラックを製造するオペル、ドイツ・フォード、マギルス(KHD)の各社に発注が出たが、ダイムラー・ベンツには3トントラックでの発注はなく4.5トントラックのL4500(Sd.Kfz.3/5)に対してであった。

生産

ダイムラー・ベンツの工場で1939年から1944年まで、それ以降は1944年から1945年までウィーンのザウラーでライセンス生産された。

材料不足のため、1943年以降、湾曲したフェンダーはよりシンプルな形状のものに置き換えられ、主に木材とプレスされた段ボールで構成された標準キャブが使用された。

生産終了までにL4500 Sが約6,400台、L4500 Aが約2,950台(ザウラーの生産分含む)、バスボディが架装されたタイプが300台、マウルティアが約1,500台の合計約11,150台以上が生産された[1][2]

技術仕様

L 4500は、ラダーフレームを備えた2軸トラックで、前後2軸ともリーフスプリングで懸架されており、フロントアクスルにはシングルタイヤ、リアアクスルにはダブルタイヤが装着した。タイヤサイズは10.5-20が装備された。

フットブレーキはエアアシスト付き油圧ブレーキで全ての車輪に作用し、パーキングブレーキは後輪のみ作用した。

エンジンは排気量7,274ccのメルセデス・ベンツOM67/4 水冷OHV直列6気筒予燃焼室付きディーゼルエンジンで、燃料は噴射ポンプによって予燃焼室に噴射された。クランクシャフトには7つのベアリングで保持され、ヘリカルギヤを介してカムシャフトを駆動した。

エンジンからは、シングルディスク乾式クラッチを介して、副変速機付き5速マニュアルトランスミッションに動力が伝達された。L 4500 Aでは、動力はトランスミッションからデフを介して前後輪に伝達され、副変速機とも前輪駆動はオフにすることもできた。

派生型

  • フラットベッドボディ(L4500 SおよびA)[1]
  • バスボディ[1]
  • KS25消防車,1941年式(L4500 Sへマギルスの消防設備を架装)[4]
  • TLF25水槽ポンプ車(L4500 Aへマギルスの消防設備を架装)[4]
  • 2cm Flakvierling38 対空機関砲を搭載した装甲キャブ架装自走砲型(L 4500 A)[5]
  • 3.7cm Flak 37 対空機関砲を搭載した装甲キャブ架装自走砲型(L 4500 A)[5]
  • 5 cm FlaK 41 対空機関砲を搭載した装甲キャブ架装自走砲型(L 4500 A)[5]
  • Sd kfz 3/5 マウルティア

注釈

  1. ^ バスボディが架装された300台、マウルティアの約1,500台を含む。
  2. ^ ペイロード1.5トンのメルセデス・ベンツ L1500の生産開始は1941年から。

出典

  1. ^ a b c d e f Daimler-Benz AG” (英語). Kfz.der Wehrmacht. 2025年5月5日閲覧。
  2. ^ a b Österreichische Saurerwerke AG” (英語). Kfz.der Wehrmacht. 2025年5月5日閲覧。
  3. ^ a b The Schell-Plan” (英語). Kfz.der Wehrmacht. 2025年5月5日閲覧。
  4. ^ a b Werner Oswald: Deutsche Militärlastwagen bis 1945, *Motorbuchverlag, Stuttgart 2019, PP213–215
  5. ^ a b c Schwere Geländegängiger Lastkraftwagen 4.5t Mercedes-Benz L4500A als Flakwagen” (英語). The Online Tank Museum. 2025年5月5日閲覧。

参考文献

翻訳元ドイツ語版の参考文献

  • Reinhard Frank: Mercedes im Kriege – Personenwagen, Lastkraftwagen, Sonderaufbauten. Podzun-Pallas-Verlag, Dorheim. 1985. ISBN 3-7909-0244-6.
  • Pat Ware: The Illustrated Guide to Military Vehicles: A complete reference guide to over 100 years of military vehicles. Anness Publishing – Hermes House. London. 2010. S. 143. ISBN 978-1-84681-585-0.
  • Jean-Denis G.G. Lepage: German Military Vehicles of World War II: An Illustrated Guide to Cars, Trucks, Half-Tracks, Motorcycles, Amphibious Vehicles and Others. McFarland, 2007. ISBN 978-0-7864-6252-0. S. 107; S. 111 ff.
  • Werner Oswald: Kraftfahrzeuge der Reichswehr, Wehrmacht und Bundeswehr, Motorbuchverlag, Stuttgart 1970, S. 125
  • Werner Oswald: Deutsche Militärlastwagen bis 1945, Motorbuchverlag, Stuttgart 2019, ISBN 978-3-613-04216-2, S. 213–215



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  メルセデス・ベンツ_L4500のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「メルセデス・ベンツ_L4500」の関連用語

メルセデス・ベンツ_L4500のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



メルセデス・ベンツ_L4500のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのメルセデス・ベンツ L4500 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS