メラー=プレセット摂動法の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/16 23:59 UTC 版)
「メラー=プレセット法」の記事における「メラー=プレセット摂動法の使用」の解説
2次(MP2)、3次(MP3)、および4次(MP4)のメラー=プレセット計算が小さな系を計算する際に使われる標準的レベルであり、多くの計算化学コードに実装されている。さらに高次のMP計算(一般的にはMP5のみ)は一部のコードで可能である。しかしながら、それらの計算コストのためほとんど使われることはない。 MP摂動論の系統的研究では、高次で必ずしも収束的な理論ではないことが示されている。収束は、化学系あるいは基底関数系に依って、遅かったり、速かったり、振動したり、規則正しかったり、高度に不規則だったり、単に収束しなかったりする。1次および2次(MP2)波動関数についての密度行列は「応答密度」と呼ばれる種類であり、より一般的な「期待値密度」とは異なる。応答密度行列の固有値(MP2自然軌道の占有数)はしたがって2よりも大きかったり、負にもなり得る。非物理的数は発散摂動展開のしるしである。 加えて、MP3およびMP4レベルで計算された様々な重要な分子の性質は、小分子についてでさえも、MP2レベルのものよりも良くない。 開殻分子については、MPn-理論は非制限ハートリー=フォック(UHF)参照関数に対してのみ直接的に適用可能である(UHF状態は一般にフォック演算子の固有ベクトルではないため)。しかしながら、得られるエネルギーはしばしば深刻なスピン汚染に悩まされ、大きな誤差を生む。可能なより良い代替法は制限開殻ハートリー=フォック法(ROHF法)に基づいたMP2様の手法の1つを使うことである。残念ながら、ROHF波動関数の任意性のため、多くのROHFに基づくMP2様の手法が存在する(例えば、HCPT、ROMP、RMP〔ROHF-MBPT2とも呼ばれる〕、OPT1およびOPT2、ZAPT、IOPT等)。ROHFに基づくMP2様の理論の一部は2次を超えるそれらの摂動密度およびエネルギーにおいてスピン汚染に悩まされる。 これらの手法、ハートリー–フォック、非制限ハートリー–フォック、制限ハートリー–フォックは単一の行列式波動関数を使用する。多配置自己無撞着場(英語版)(MCSCF)法は複数の行列式を使用し、非摂動演算子のために使うことができるが、一意的ではなく、完全活性空間摂動論(CASPT2)、多配置準縮退摂動論(MCQDPT)といった非常にたくさんの手法が開発されている。残念なことに、MCSCFに基づく手法は摂動級数の発散がないわけではない。
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