メディアによる喧伝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 12:25 UTC 版)
満洲への花嫁送出に対し、「大陸の花嫁」のキーワードを用いてイメージ戦略を行ったのが各種のメディアと大衆芸能である。こうした活動は、女性の自発的選択や家族などの積極的・許容的態度を促す事を目的としており、花嫁送出の「気運」の醸成に大きな役割を果たしたと考えられる。 もっとも顕著な活動を行ったのは『拓け満蒙』(のち『新満洲』『開拓』)や『処女の友』などの移民を推進する機関誌で、論説・訪問記・座談会などの特集記事や、小説・詩・歌謡などの娯楽を掲載するなど、多面的に大陸の花嫁を扱った。次に注目されるのが『主婦の友』『婦人倶楽部』『婦人公論』などの婦人雑誌である。1938年5月に内務省警保局は「婦人雑誌に対する取り締まり方針」を出し、誌面から反軍国・反戦時的は記事を締め出した。これ以降に、婦人雑誌も大陸の花嫁を扱うようになる。こうした雑誌は開拓地や訓練所の取材記や大陸の花嫁をテーマにした絵画・グラビア記事を掲載し、質素で健康的かつ勤勉で美しい女性像を膨らませていった。 また、文芸作品・映画・歌謡など大衆芸能が大陸の花嫁を美化すると同時に、若い女性の感情移入を促したと考えられる。特に歌謡曲の数は多く、明治期と昭和期の戦時歌謡を比較研究した李有姫は、昭和期の特徴の特徴のひとつとして、女性をテーマに歌うことを挙げ、花嫁ソングとされるものは1938年から1945年までで50曲余りが確認できるとする。 こうした美化されたイメージと現実を結びつける役割を果たしたのが、ニュース映画である。映画会社は大陸の花嫁の合同結婚式や開拓地の取材したトーキーニュース映画を作成し、女性の愛国心や使命感を煽った。
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