ミンコフスキー和と凸包
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/17 04:35 UTC 版)
「ミンコフスキー算(英語版)」および「シャプレー-フォークマンの補題(英語版)」も参照 凸包を取る操作は集合のミンコフスキー和に関してよく振る舞う。 ミンコフスキー和 実線型空間において、二つの空でない集合 S1, S2 のミンコフスキー和 S1 + S2 は、加えられる各集合の元ごとの和の集合 S 1 + S 2 = { x 1 + x 2 : x 1 ∈ S 1 ∧ x 2 ∈ S 2 } {\displaystyle S_{1}+S_{2}=\{x_{1}+x_{2}:x_{1}\in S_{1}\land x_{2}\in S_{2}\}} として定義される。より一般に、空でない部分集合の有限族 Si (i = 1, 2, …, n) のミンコフスキー和は、同様に元ごとの和をとって ∑ i = 1 n S i := { ∑ i = 1 n x i : x i ∈ S i } {\displaystyle \sum _{i=1}^{n}S_{i}:=\left\{\sum _{i=1}^{n}x_{i}:x_{i}\in S_{i}\right\}} で与えられる。ミンコフスキー和に関して、零ベクトルのみからなる自明空間 {0} は単位元、空集合 ∅ は吸収元を成す。 実線型空間の任意の二つの部分集合 S1, S2 に対して、それらのミンコフスキー和の凸包はそれぞれの凸包のミンコフスキー和に等しい。即ち Conv ( S 1 + S 2 ) = Conv ( S 1 ) + Conv ( S 2 ) {\displaystyle \operatorname {Conv} (S_{1}+S_{2})=\operatorname {Conv} (S_{1})+\operatorname {Conv} (S_{2})} が成り立つ。この結果は部分集合の有限族に対しても一般化できて、 Conv ( ∑ i = 1 n S i ) = ∑ i = 1 n Conv ( S i ) {\displaystyle \operatorname {Conv} \!{\big (}\sum _{i=1}^{n}S_{i}{\bigr )}=\sum _{i=1}^{n}\operatorname {Conv} (S_{i})} が成り立つ。言葉を替えれば、ミンコフスキー和作用素と凸包作用素は可換なのである。 これらの結果は「ミンコフスキー和」が集合論的な和(合併)との違いを示すものになっている。実際、二つの凸集合の合併は必ずしも凸でなく、包含関係 Conv(S) ∪ Conv(T) ⊆ Conv(S ∪ T) は一般には真の包含になる。凸部分集合全体の成す集合を(完備な)束とするのに凸包作用素は重要で、通例この束における結び演算(英語版) (join) ∨ は二つの凸集合の合併の凸包 Conv ( S ) ∨ Conv ( T ) := Conv ( S ∪ T ) = Conv ( Conv ( S ) ∪ Conv ( T ) ) {\displaystyle \operatorname {Conv} (S)\vee \operatorname {Conv} (T):=\operatorname {Conv} (S\cup T)=\operatorname {Conv} (\operatorname {Conv} (S)\cup \operatorname {Conv} (T))} によって与えられる。
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