ミケランジェロの評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 02:08 UTC 版)
「ダナエ (ティツィアーノの絵画)」の記事における「ミケランジェロの評価」の解説
ミケランジェロとヴァザーリが当時ティツィアーノがバチカン宮殿のベルヴェデーレ庭園に構えていた工房を訪れたときに、現在プラド美術館に所蔵されているバージョンの『ダナエ』の制作過程を目にした。その場ではミケランジェロはティツィアーノの色使いに賞賛の言葉を送ったが、後に非公式であるもののティツィアーノのデッサン力と構成力に対して疑問を呈している。18世紀後半から19世紀初頭にかけて活躍したイギリス人画家ジェイムス・ノースコート (en:James Northcote) が、ヴァザーリが記録していたミケランジェロの言葉を載録している。 ティツィアーノは高貴な魂の持ち主かもしれない。優れた技法と、迫真性に満ちた表現力を兼ね備えている。しかし、現在の彼は画面構成に対する知識は欠落して実物から目を背けてしまっており、間違いを正すことも素晴らしい作品を描こうという努力も見られない。確実にいえることはティツィアーノが古代ギリシア時代の最高の芸術作品から学んでいないということで、古代の芸術作品に見られるモデルの内面の美しさや完全性を表現する手法をあらゆる点において理解していない。現在(ミケランジェロ存命時)の芸術家は目の前の対象物をそのままコピーすることしかできず、それ以上のものを表現できる芸術家はほとんどいない。 ヴァザーリが残したこれらのミケランジェロの言葉をそのまま受け取ることはできない。ヴァザーリの考えでは、絵画においてデッサン力こそがもっとも必要な要素であり、色使いはその次に評価されるべきものだった。自身のこの信念を広く知らしめるためにヴァザーリがミケランジェロの言葉を捏造した可能性も捨てきれないのである。
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