ミケランジェロの『原罪』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 15:48 UTC 版)
「眠れるヴィーナスとキューピッド、サテュロス」の記事における「ミケランジェロの『原罪』」の解説
何人かの研究者はコレッジョのヴィーナスについて、ミケランジェロ・ブオナローティの『原罪』(Peccato originale)のエヴァの影響を指摘しているが、両者の間に特別な類似性はない。しかしミケランジェロのエヴァはジュリオ・ロマーノやペレグリーノ・デ・モデナ(イタリア語版)に影響を与えており、彼らを介して影響を受けた可能性はある。特にジュリオ・ロマーノの『ヴィーナスとアドニス』(Venere e Adone, 1516年)はマルカントニオ・ライモンディのエッチングによって広く知られた。 むしろミケランジェロの直接的な影響はサテュロスのほうに認められる。本作品のサテュロスが布をつかむポーズは、エヴァの傍らに立って知恵の樹の果実に手を伸ばすアダムのポーズとよく似ている。『原罪』の図像が早い段階で北イタリアにも伝わったことは、ティツィアーノがパドヴァで描いた初期のフレスコ画『嫉妬深い夫の奇跡』(Miracolo del marito geloso, 1511年)からも明らかである。そこでは『原罪』のエヴァの図像が反転して用いられており、ミケランジェロの影響がはっきりと見られる。これと関連して、ロッソ・フィオレンティーノおよびペリーノ・デル・ヴァーガの素描に基づくヤコポ・カラッリョ(英語版)のエロティックな神話画の連作版画(1527年)の影響も指摘されている。カラッリョが『ユピテルとアンティオペ』で描いたサテュロスのポーズは『原罪』のアダムの影響が明らかであり、カラッリョを通じてミケランジェロの影響を受けたことが想定されている。カラッリョに関しては『ヴィーナスとクピド』との類似も無視できない。ヴィーナスのポーズやクピドとの位置関係に加え、ヴィーナスの横たわるベッドが斜めに起き上がり、女神を正面から眺める構図になっている点は本作品とよく似ている。
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