マタイ受難曲の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 04:31 UTC 版)
マタイ受難曲は大きく二部(通常68曲)からなる。第一部は29曲、イエスの捕縛までを扱う。第二部は39曲、イエスの捕縛、ピラトのもとでの裁判、十字架への磔、刑死した後、その墓の封印までを扱う。物語でありながら、一方で精緻な音楽的構造を持った作品でもある。 聖句 聖句(聖書からの引用)のうち、エヴァンゲリスト(福音史家)はテノール、イエスやピラト、ペテロ、ユダと大祭司カイアファなどはバリトンあるいはバスで、集団は合唱で歌われる。マタイ受難曲中では、全体的に、真実は単純に、悪意や混乱は複雑な対位法で歌われる傾向がある。弟子達や一般の民衆等は四声部の合唱で、イエスに敵意を抱く祭司や長老をはじめとする群衆は八声部の二重合唱で歌われるが、群衆がイエスの言葉として Ich bin Gottes Sohn(私は神の子である)を引用する瞬間、全声部がユニゾンとなる。また「二人の偽証者」を表現するのに、二声部のカノンが用いられている。 イエスが発言する際には常に弦楽器の長い和音の伴奏が伴われるが、これはキリスト教美術によく見られる後光を音楽的に表現したものとされる。しかし最後の言葉Eli, eli, lama sabachthani(わが神、わが神、どうして私をお見捨てになったのですか)という神への疑いを示す部分だけは弦楽器の後光が伴わない。 アリア、伴奏付きレチタティーヴォ アリアは合計14曲あり、これらのうち10曲は伴奏付きレチタティーヴォとアリアの組み合わせである。他のアリアはソロで4曲ある。 コラール 有名な「受難のコラール」(おお、血と涙にまみれし御頭、O Haupt voll Blut und Wunden)など。受難のコラール 15.(21) コラール「われを知り給え、わが守り手よ」(合唱) 17.(23) コラール「われはここなる汝の身許に留まらん」(合唱) 54.(63) コラール「おお、血と涙にまみれし御頭」 62.(72) コラール「いつの日かわれ去り逝くとき」(合唱)
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