ポール・ディラック
反粒子の存在を予言したイギリスの理論物理学者
電気スピンや磁気単極の概念を導入するなど、量子電磁気学の発展に決定的な役割を果たしたポール・ディラック(1902〜1984)はイギリスの理論物理学者で、相対論的量子力学の確立者として有名です。1933年には理論物理学に対する寄与が認められ、ノーベル物理学賞を受賞しました。
陽電子の存在の予言によって一躍世界的に有名になる
ブリストル大学で電気工学や数学を学んだディラックは、1923年にケンブリッジ大学に移って射影幾何学を勉強したあと、理論物理研究で名高いコペンハーゲンの理論物理学研究所やゲッティンゲン大学を訪れます。そこでボーアやハイゼンベルクら、当時発展途上の量子力学の指導的研究者たちに会い、彼らの研究に加わりました。1927年、ディラックはケンブリッジ大学の教授になり、1928年に電子の相対性理論を定式化し、それに、もとづいて正の電荷をもつ電子、つまり陽電子の存在を予言します。この理論の与えた衝撃は大きく、ディラックの名は一躍知られるようになりました。
量子力学の発展に寄与する多くの方程式を定式化する
1933年、実際に陽電子が発見され、ディラックはノーベル物理学賞に輝きました。また、王立協会からは1939年にロイヤル・メダルを、1946年にはコプリ・メダルを授与されています。さらに1969年にはオッペンハイマー賞の最初の受賞者となり、1971年にはフロリダ州立大学に物理学教授として迎えられました。ディラックは、量子力学の発展にとって不可欠な多くの重要な方程式の定式化に貢献し、相対性理論と量子力学の調停・統合をはかって電子の相対論的波動理論をうちたてた20世紀物理学における巨人の1人といえるのです。
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