ポテンシャルのフィッティング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 06:58 UTC 版)
「原子間ポテンシャル」の記事における「ポテンシャルのフィッティング」の解説
原子間ポテンシャルはいずれも近似であるため、何らかの基準値に合わせて決定しなければならないパラメータを必ず持っている。レナード-ジョーンズ型やモース型のように単純なポテンシャルならば、例えば二量体分子の平衡結合距離や結合強さ、あるいは固体の凝集エネルギーなどから直接パラメータを決定することができる。しかし多体ポテンシャルには多くの場合未知のパラメータが数十個から数百個も含まれる。これらの当て嵌めには、もっと大量の実験データや、密度汎関数理論のようなより原理的なモデルによるシミュレーションから得られる物性値が用いられる。固体の多体ポテンシャルを上手く構築すれば、あらゆる元素や安定な化合物の平衡結晶構造について、少なくとも格子定数や線形弾性定数、基本的な点欠陥の性質は正しく求めることができる。ほとんどの場合、ポテンシャルの構築や当て嵌めにおいてはそのポテンシャルを「転用可能」にすること、すなわち当て嵌めに用いた物性とは明らかに異なる物性を正しく表せることが目標となる(明確にこのような研究が行われているポテンシャルの例はを見よ)。一部にでも転用可能性が示された例が、ケイ素の原子間ポテンシャルに関する一編の総説に示されている。それによると、Stillinger-WeberポテンシャルおよびTersoff IIIポテンシャルはフィッティングに用いたのとは異なる物性のいくつか(すべてではない)を記述することが可能である。 NISTのリポジトリには当て嵌られた原子間ポテンシャルが集められており、パラメータのフィット値、もしくはポテンシャル関数の数表という形で公開されている。
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