ペルシア式カナートと水時計の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 07:31 UTC 版)
「古代ペルシアにおける伝統的な水源」の記事における「ペルシア式カナートと水時計の使用」の解説
最古かつ最大のカナートの1つはイランのラザヴィー・ホラーサーン州の ゴナーバード(英語版)にあるゴナーバードのカナート(英語版)で、このカナートは「カイ・ホスロウのカーリーズ」ともよばれている。建設されたのは紀元前500年から紀元前700年の間で、2700年を経ても、いまだに4万人近くに飲料水と農業用水を提供している。 427の井戸があり、中心にある井戸は360メートル以上の深さがある。全長は33,113メートルにおよぶ 。2007年にユネスコ暫定世界遺産のリストに追加され、2016年には正式に「ペルシア式カナート」という登録名のもと、他のいくつかのカナートとともに登録された 。 カリステネス(英語版)によると、ペルシア人は紀元前328年には水時計を使用して、農業用灌漑のためにカナートから株主に水を公正かつ正確に分配していた。 特にゴナーバードとズィーバッドのカナートでの水時計の使用は、紀元前500年にまでさかのぼる。水時計は、ペルシア語ではフェンジャーン(「碗」の意)とよばれ、より正確な現在の時計に置き換えられるまで、農民が灌漑のためにカナートまたは井戸から水が供給されるべき量または時間を計算するために最も正確で一般的に使用される計時装置であった。後にはノウルーズやヤルダーなど、イスラーム以前の宗教の正確な祭日を決定するためにも使用されていた。 フェンジャーンは、カナートの権利者たちがそれぞれの農地に供給する水の時間の長さを計算するための実用的で有用な道具であった。カナート(カーリーズ)は乾燥地域における農業と灌漑のための唯一の水源であったので、公正で公平な水の分配が非常に重要であった。そのため、非常に公平で賢い年輩者がミールアーブ(MirAab)とよばれる管理者に選ばれた。少なくとも2人の常勤の管理者がフェンジャーン(時間)の数を制御および監視し、日の出から日没まで、昼と夜の正確な時間を告知する必要があった。なぜなら、権利者たちは通常、日中の水の権利者と夜間の水の権利者に分かれていたためである。 フェンジャーンは、水で満たされた大きなポットと中央に小さな穴のある碗で構成されていた。碗は水で満たされていき、いっぱいになるとポットの底に沈む。すると管理者は碗を空にして再びポットの水の上に置き、瓶に小さな石を入れて碗が沈んだ回数を記録した。水時計が置かれていた場所とその管理者は、まとめてハーネ・フェンジャーン(「フェンジャーンの家」の意)とよばれていた。通常、このハーネ・フェンジャーンは公共の家の最上階にあり、日の出と日の入の時間を確認することができるよう西および東向きの窓があった。 アストロラーベという別の時間管理の道具もあったが、それらは主に迷信的な信仰に使用され、農民の暦としての使用には実用的ではなかった。 ズィーバッドとゴナーバードの水時計は1965 年まで使用されて、現代の時計に置き換えられていった。
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