ベックの路線図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 18:43 UTC 版)
「ロンドン地下鉄路線図」の記事における「ベックの路線図」の解説
最初のダイアグラムによる路線図は、1931年、ハリー・ベック(英語版)によってデザインされた。ベックは地下鉄の従業員であったが、地下鉄はほとんど地下を走るため、ある駅から別の駅への行き方(鉄道路線のトポロジーだけ)を知りたいと思っている利用者にとって駅の物理的な位置は意味がない、ということに気付いていた。このアプローチは電気回路図のデザインと似ている。ベックのダイアグラムはそこから着想を得たものではないが、彼の同僚たちはその類似性を指摘した。このためベックは冗談で、「ベーカールー線」から「フェノール樹脂」へのように、各駅を電気回路部品と用語に置き換えた路線図を作ったことがある。 ベックは、駅とそれらを結ぶ直線、そしてテムズ川から構成される路線図を考案した。その路線図では、すべての路線が垂直・水平または傾き45度の直線で描かれている。路線図をよりシンプルかつ路線同士の接続を強調するため、通常の駅(チェックマークで表現)と乗換駅(菱形で表現)は区別して描かれた。当初ロンドン地下鉄は彼の提案に懐疑的だったため、ベックの路線図作成作業は正式な業務としてではなく余暇時間に行われた。1933年、ベックの路線図が試験的に小冊子で紹介されるとそれは瞬く間に人気となった。それ以来ロンドン地下鉄は、そのネットワークを描くためにトポロジー・ベースの路線図を使用している。 ベックはこの最初の成功以降、1960年まで地下鉄路線図のデザインを続けた(1939年版のみハンス・シェガーがデザインした)。この間、ベックは新しい路線や駅の建設に対応すると同時にデザインの改良を続けた。例えば、乗換駅の記号を菱形から円に変え、路線の色も変更した。 セントラル線は橙色から赤へ、 ベーカールー線は赤から茶色へと変った。1960年のベックによる最終デザインは、現在の路線図に近いものになっていた。
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