ブランチ (ソフトウェア)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ブランチ (ソフトウェア)の意味・解説 

ブランチ (ソフトウェア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/31 08:25 UTC 版)

バージョン管理システムおよびソフトウェア構成管理におけるブランチ英語: branch)とは、バージョン管理システムの管理下にあるオブジェクト(ソースコードファイル、ディレクトリツリーなど)を複製し、それぞれ同時並行して変更が行えるようにしたものである。

ブランチはツリー(英: tree)、ストリーム(英: stream)、コードライン(英: codeline)などとも呼ばれる。分岐元のブランチは親ブランチ(英: parent branch)、アップストリームブランチ(英: upstream branch)(特に、分岐元のブランチが他の組織や個人により管理されている場合には単純にアップストリーム〈英: upstream〉とも)、バッキングストリーム(英: backing stream)などと呼ばれる。親を持つブランチは子ブランチ、親のない(起点となる)ブランチはトランク(英: trunk)またはメインライン(英: mainline)などと呼ばれる[1]

分散型バージョン管理システムの中にはDarcs英語版のように、リポジトリとブランチを区別できないものもある。このようなシステムでは、リポジトリのコピーの取得はブランチの作成と変わらない。

ブランチを作成する場合、通常は変更点を後で親ブランチに対してマージまたは統合できる必要がある。トランクを直接の親としないブランチから、トランクへの変更点をマージするといったことも行われる。マージ予定のないブランチの作成は、一般的にフォークと呼ばれる。

ブランチ作成の動機

ブランチを作成することで、ソフトウェアの各パーツを並行して開発できる[2]。また、大規模なプロジェクトでは、開発者、マネージャ、品質保証担当者など、様々な役割の担当者が必要となる。さらに、さまざまなオペレーティングシステム向けに複数のリリースを管理する必要もあるだろう。このような場合にブランチを作成すれば、各担当者はコードベースを不安定にするリスクを負わずに、例えばバグに対するパッチ当て、新しい機能の追加[3]バージョン間の統合といった変更を独立に行うことができる。これらの変更は、後でテストを行った後に再同期される。

開発ブランチ

正式リリースされる前の、まだ開発中のバージョンのソフトウェアは開発ブランチ英語: development branch)または開発ツリー(英: development tree)と呼ばれる。もっとも、オープンソースコミュニティにおいては誰もが好きなバージョンのソフトウェアを(開発ブランチかそうでないかに関係なく)取得できるため、「リリース」という概念は比喩的なものと言える。また、最終的に次のメジャーバージョンになるブランチを特に指して「開発ブランチ」と呼ぶこともある。一方で、後続バージョンが複数あり、それが同時に開発中の状態にあるということもよくある。

バージョン管理システムによっては、主となる開発ブランチを指すのに特別の用語を使う場合もある。例えばCVSではメイン(英: MAIN)、より一般的にはメインライン(英: mainline)と呼ばれる。

シャドウブランチとマジックブランチ

cvcやCVSNT英語版といったシステムにはシャドウブランチ英語: shadow branch)またはマジックブランチ(英: magic branch)という機能がある。これはアップストリームブランチで行われた変更を「覆う」ことで、小さな変更点の管理を容易にする仕組みである(cvcはrPathの開発したオープンソースのパッケージビルドシステムで、バージョン管理システムの機能が盛り込まれている[要出典])。

関連項目

参考文献

  1. ^ Berczuk, Steve; Appleton, Brad (2003). Software Configuration Management Patterns: Effective Teamwork, Practical Integration. Addison-Wesley. ISBN 0201741172. http://www.scmpatterns.com/book 2007年5月24日閲覧。 
  2. ^ Brad Appleton, Stephen Berczuk, Ralph Cabrera, and Robert Orenstein (1998年2月8日). “Streamed Lines: Branching Patterns for Parallel Software Development”. hillside.net. 2009年8月12日閲覧。
  3. ^ Derick Bailey (2009年7月15日). “Branch-Per-Feature Source Control. Part 1: Why”. lostechies.com. 2009年8月12日閲覧。

外部リンク


「ブランチ (ソフトウェア)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブランチ (ソフトウェア)」の関連用語

ブランチ (ソフトウェア)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブランチ (ソフトウェア)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブランチ (ソフトウェア) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS