フロベニウスの研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:49 UTC 版)
「チェボタレフの密度定理」の記事における「フロベニウスの研究」の解説
この分野におけるフロベニウスの先駆的な研究がサーベイ論文Lenstra & Stevenhagen (1996)で触れられている。K を有理数体Qのガロア拡大とし、P(t)をモニックな整数係数多項式で K がPの分解体になるようなものとする。素数p を法として P の因数分解を考える。mod p でのP の既約因子の次数のリストを'分解の型'と呼ぶ。'分解の型'は、Pの次数を n とすると、n の分割 Π になっている。Q 上のK のガロア群を G とすると、G の元 g はPのKにおける根に置換で作用する。言い換えると、P の根の集合に順序をいれることにより、Gは対称群Snに部分群として埋め込める。巡回置換表現を考えることで、g の'巡回置換型' c(g) が得られる。これもまたn の分割になっている。 フロベニウスの定理とは、任意の分割 Π に対して、P のmod pでの分解の型が Πになる素数 p 全体は、δ をG の元g で巡回置換型 Π を持つものの割合とすると、自然密度(英語版)δ を持つ、という定理である。 より一般的なチェボタレフの定理は素イデアルのフロベニウス元(元といっても実際にはガロア群 G の共役類 C)を使って述べられる。この定理は、ある固定した共役類 C に対して、フロベニウス元が C になる素数の割合は漸近的には|C|/|G|になるという主張である。G がアーベル群の場合には共役類の大きさ(含まれる元の数)は1である。位数が6の非アーベル群の場合には、共役類の大きさは1、2、3のいずれかである。これから、例えばフロベニウス元の位数が2となるような素数pの割合は50%であることがわかる。これらの素数の剰余次数は2なので、この群をガロア群とするQの6次拡大ではちょうど3つの素イデアルに分解する。
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