フルタイム4WDとしての特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 07:51 UTC 版)
「スーパーセレクト4WD」の記事における「フルタイム4WDとしての特徴」の解説
差動制限効果を持つビスカスカップリングを内装するセンターデファレンシャル・トランスファを装備する。ビスカスカップリングにより、前進・後退はもちろん、加速・減速いずれの走行場面でも、前後に駆動力を配分する。 センターデファレンシャルはあっても差動制限を持たないシステム(初期のフルタイム4WD)は、デファレンシャルにより機械的に常時すべての車軸に駆動力が配分されて通常走行における安定性が高いという長所はあるものの、一度空転やロックした車輪は空回りしてしまい走破性に欠ける。 逆に、センターデファレンシャルを持たずにビスカスなどの流体継ぎ手のみのシステム(セレックトラック、リアルタイム4WDなど多数)では、主駆動輪のみが駆動を受け持つ場面がほとんどで経済性に優れている長所があるが、主輪が駆動を失ったときのみ従輪に駆動力が配分されるため、スリップしてさらにリアからアンダーの力が加わりステア特性が大きく変化することで、旋回時の車体の安定性に欠ける。 これらのシステムの長所を生かし、欠点をカバーしあうため、「ディファレンシャル+ビスカスカップリング」の双方を積載し多様な状況に対応できる場面は従来のシステムより格段に高くなった。しかし、結局ビスカスが介在することにより運転者の意図しないステア特性変化は残る点で、過渡期のシステムであるといえる。 スーパーセレクト4WD初搭載車は1991年に登場した2代目パジェロで、パジェロの3代目以降では発展させた「スーパーセレクト4WD II」が採用されている。スーパーセレクトのセンターデフはベベルギアで前後のトルク配分を50:50としているのに対し、スーパーセレクトII では駆動伝達効率の高いプラネタリーギアに変更し前後トルク配分を33:67とリア寄りとした。初期のスーパーセレクト4WD車両に見られたビスカスならではの旋回中のステア特性変化(4Hモードでカーブを曲がると、ビスカスによる前後駆動配分率の変化により、オーバーからアンダーへと特性変化が生じる)を、あくまで、リア駆動が主であるようにトルク制御の上限を設け弱アンダーの特性を維持することで操縦性の向上を図っている。
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