フェラーリのチームプレー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 09:04 UTC 版)
「1997年日本グランプリ (4輪)」の記事における「フェラーリのチームプレー」の解説
スタートではヴィルヌーヴがシューマッハを牽制しながら、トップのまま1コーナーに進入した。ハッキネンがアーバインをかわして3位に浮上し、ヴィルヌーヴ、シューマッハ、ハッキネン、アーバイン、フレンツェン、ベルガーの順でオープニングラップを消化した。 2周目、フェラーリ陣営が最初の連携作戦を展開する。S字コーナーの逆バンクでシューマッハが減速してハッキネンを抑え、すかさず2台後ろにいたアーバインが2人をまとめてかわして2位に浮上(日本でのレースを多く経験していたアーバインは逆バンクのラインが2本あることを知っており、レース前の作戦会議でこれを利用することをチームに提言していた)。さらに3周目のシケインではヴィルヌーヴも抜いてトップに躍り出た。失格の可能性があるヴィルヌーヴはシューマッハを抑え込み、ライバルの獲得ポイントを減らすことに専念した。レース序盤はアーバインがトップを快走し、2位以下に10秒以上の差をつける予想外の展開となった。 9周目、ミナルディの片山右京がスプーンカーブ手前でマシンを止めた。片山は金曜日のフリー走行後、今季限りでのF1引退を表明しており、これが最後の日本GPとなった。 14周目、ハッキネンとベルガーが同時にピットインし、最初のタイヤ交換と再給油が行われる。上位3台はアーバインが17周目、シューマッハが18周目、ヴィルヌーヴが20周目にピットインした。ヴィルヌーヴはシューマッハの目前でコースに復帰したが、車速の乗ったシューマッハに1コーナーでかわされた。 25周目、トップを独走していたアーバインが突然ペースを落とし、シューマッハとヴィルヌーヴに追いつかれた。アーバインは逆バンクでシューマッハにトップを譲ると、すかさずヴィルヌーヴをブロックする役にまわった。フェラーリ陣営の巧妙な連係作戦により、シューマッハは逃げの体勢に入った。 ヴィルヌーヴはアーバインに抑え込まれた上に、30周目の2回目のピットインでは給油作業に手間取り、ハッキネンにも先行された。反対に、チームメイトのフレンツェンはピットインを遅らせたことが成功し、アーバインの前にポジションアップした。ピットストップ終了後の順位はシューマッハ、フレンツェン、アーバイン、ハッキネン、ヴィルヌーブ、アレジとなった。 レース終盤、シューマッハはアロウズのデイモン・ヒルを周回遅れにするのに手間取り、フレンツェンとの差が縮まった。しかし、シューマッハは今季5勝目を獲得してポイントを78点に伸ばし、暫定5位に終わったヴィルヌーヴとの差を1点に縮めた。レース後にマシンを降りると、アシストを務めたアーバインと勝利を祝った。 コンストラクターズポイントはウィリアムズ120点、フェラーリ100点となり、ヴィルヌーヴの裁定結果に関係なくウィリアムズのタイトル防衛が決定した。
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