フィリピン語の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/03 23:08 UTC 版)
現存するオーストロネシア語族に属する言語の中では、文法的には最も複雑な言語の一つである。共通語として人工的に文法が簡素化されたインドネシア語と比べると、言語的類似性は強いが、接辞を伴った動詞の変化はフィリピン語の方がはるかに複雑である。たとえばkuha(取る)という動詞が、文脈上その目的語を強調するか、「取る」という行為やその主体を強調するか、さらにはそれが時制によって10以上の形に変化する。 語順は動詞が最初に来る、動詞(V)→ 主語(S)→ 目的語(O)が原則である点も大きな特徴である。 母音はa, e, i, o, uの5つであり、子音は日本語にRとLの区別を加えた程度で、日本語話者にとって発音は容易である。 語彙はサンスクリット語、スペイン語、英語から多くの借用語が用いられている。特に抽象語、近代語などは英語かスペイン語からの借用が多い。逆に日常用語はpayong(傘)、mata(目)などインドネシア語や太平洋諸国の言語とまったく同じ、もしくは類似している。 日本語とは音韻的には類似性があるが、語彙に関しては沖縄諸島の言語を含めて日常語の類似性、共通性はまったくといっていいほど認められない。一方で台湾の高山地帯に住む先住民(高山族)や台湾南東沖にある蘭嶼の先住民が話すタオ語は明らかにフィリピン諸語の一つで、類似性が非常に強い。このことから台湾と与那国島との間が近代までの「言語的境界線」であったと考えられる。
※この「フィリピン語の特徴」の解説は、「フィリピン語」の解説の一部です。
「フィリピン語の特徴」を含む「フィリピン語」の記事については、「フィリピン語」の概要を参照ください。
- フィリピン語の特徴のページへのリンク