パトナム以降
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/19 05:57 UTC 版)
アリソン以外治療者のほとんどは総じて救済者人格、保護者人格は認めても、ISHについては懐疑的である。何かのついでにちらりとISHに触れただけで、治療の中心に据えたりはしていない。パトナムはその中ではISHについて多く述べた方だが、それも1989年の著書までであり、1998年の著書ではISHについてはまったく触れず、それどころか、交代人格の分類自体に否定的になり「各種各様の類型化が提案されてきたけれども、体系的なデータは無いに等しい。多重人格のタイプには、例えば子ども様人格状態群、怒れる人格状態群、護衛者(guardian)たち、迫害者たちが見つかっており、これだけでも将来の研究のやりがいが保証されたようなものである」と述べている。その段階でのパトナムの見解をよく表すのは次ぎの言葉である。 「交代人格はリアルである。それは存在する。しかし個々に分離した個人ではなく、離散的意識状態として存在するのである。・・・妙なことに、交代人格たちが別個の人間であるという見解を内々で受け入れているのは(DIDに対する)批判者たちのほうだ。」 それ以降このISHの概念を使ってDIDを説明した人は居ない。DIDの治療記録で比較的新しいものに、2007年に出版されたリチャード・ベアの『17人のわたし-ある多重人格女性の記録』があるが、その17人の人格の中の一人で、最後に統合されたホールドンはアリソンならISHと呼ぶものである。しかしリチャード・ベアはISHという言葉を使ってはいない。
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