バルベリーニ宮殿天井画
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「ピエトロ・ダ・コルトーナ」の記事における「バルベリーニ宮殿天井画」の解説
バルベリーニ宮殿の天井画≪神の摂理≫(≪神の知≫などと訳す場合もある)(en)はピエトロの代表作であるとともに、イタリアの盛期バロック期を代表する大作である。17世紀バロック建築の代表作の1つであるバルベリーニ宮殿の2階中央の広間天井に描かれたもので、幅15メートル、奥行25メートルにも及ぶ大画面に数多くの人物が配されている。構図の中心に位置する「神の摂理」の寓意の女性像をはじめ、人物は空間に浮遊するように描かれ、天井がそのまま天空へとつながっているような錯覚を見る者に起こす。 ソッティン・スー(sotto in su)(目だまし風)の手法を用いて、二次元平面である絵画と、建築装飾の区別がつかないように見せる手法は1世代前のアンニーバレ・カラッチらも用いていた。カラッチの制作になるファルネーゼ宮殿の天井画は、天井を細かい区画に分けたクァドリ・リポルターティ(擬似額絵)という手法を用いている。一方、このバルベリーニ宮殿の天井画に用いられた手法は一歩進んだ「クァドラトゥーラ」といわれるもので、遠近法と錯視効果を駆使し、絵画と建築装飾の区別がつかないだけでなく、絵画、建築装飾と鑑賞者のいる現実空間との境があいまいになっている。≪神の摂理≫では画面の四隅から立ち上がる装飾付きの柱と、その上のコーニス(柱上の水平材)によって画面は大きく5つに分かれているが、これらの建築部材はすべて平面に描かれたものであり、描かれた登場人物たちはこれらの区画を飛び越えて自在に飛翔している。 作品の主題は複雑であるが、一言で言えば教皇ウルバヌス8世の栄光を称えるものであり、ウルバヌス8世の優れた治世によって「神の摂理」が実現されたことをさまざまな寓意人物像で表現したものである。
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