ドルフィン_(AGSS-555)とは? わかりやすく解説

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ドルフィン (AGSS-555)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/16 03:44 UTC 版)

艦歴
発注 1960年8月10日
起工 1964年12月19日
進水 1968年6月8日
就役 1968年8月17日
退役 2006年9月22日
除籍 2007年1月15日
その後 サンディエゴ海事博物館にて浮上展示中
性能諸元
排水量 基準:800トン[1]、満載:861トン、水中:950トン[1]
全長 46.3 m[1]
全幅 5.9 m[1]
吃水 5.5 m[1]
機関 ゼネラルモーターズ V71 12気筒ディーゼルエンジン2基
エレクトリック・モーター2基
最大速 15ノット強(水上)[1]
7.5ノット(水中)
乗員 37名、便乗者4-7名[1]
兵装 深深度用魚雷発射管(1970年撤去)[1]

ドルフィン (USS Dolphin, AGSS-555) は、アメリカ海軍ディーゼル・エレクトリック方式による深度潜航実験開発潜水艦[1]。同型艦は無い[1]。艦名はイルカに因んで命名された。その名を持つ艦としては7隻目のVボート(SS-169)以来7隻目。

1968年に就役し、2007年に除籍された。38年の艦歴は米海軍の潜水艦としては史上最長である。また、本艦はアメリカ海軍最後の通常動力型潜水艦であった[2]

1969年8月に試験潜水深度3,000フィート(914メートル)超を記録し、これは戦闘艦として当時の世界記録である[3]

設計および運用

艦歴

ドルフィンは1964年12月19日にメイン州キタリーポーツマス海軍造船所で起工した。最初のアーク溶接は設計副局長のマートン・ワッツによって行われた。1968年6月8日にダニエル・イノウエ上院議員の妻であるマギー・シノブ・イノウエ夫人(旧姓アワムラ)によって命名、進水し、1968年8月17日に艦長J・R・マクダネル少佐の指揮下就役した。

実験開発潜水艦として、深深度用魚雷発射管やレーザー通信、HY130高張力鋼などの試験を担当[1]。1990年代末には新型ソナーシステムの試験を行った。その結果、新型ソナーシステムは艦隊に導入された。

事故

2002年5月21日の11:30(太平洋夏時間)、カリフォルニア州サンディエゴ沖合およそ100マイルの海域で作戦行動中に、ドルフィンは浮上して航行しバッテリーを充電していたが、魚雷発射管の密閉ドアが故障し、浸水を始めた。強風のため10から11フィートの波が立ち、およそ70から85トンの海水が艦に流入した。その量は艦の予備浮力に匹敵し、浸水による電気パネルのショートで火災が発生した。

主任機関士のジョン・D・ワイズ・ジュニアは、何をしなければいけないか理解し、57度に傾いたポンプ室の中で氾濫した水の中に飛び込んだ。

90分後、艦長のスティーブン・ケルシー中佐は41名の乗組員および2名の民間人に対し艦の放棄を命じた。付近で活動中であった海洋研究船マクゴー (McGaw) が直ちに応答した。

火災と浸水は乗組員のコントロールにより沈静化し、艦のハッチが安全になった後、彼らは小型ボートによりマクゴーに移乗した。数名が軽傷を負った以外は、全ての乗組員が無事に救助された。移乗中に2名が水中から沿岸警備隊ヘリコプターによって救助された。マクゴーは乗組員をサンディエゴに送り届けた。

乗組員の迅速な対処により、艦は安定した状態となった。サッチ (USS Thach, FFG-43) がドルフィンの状態を確認するため側に近づいたが、荒天のため牽引することはできなかった。潜水艦支援艦のケリー・チョーエスト (MV Kellie Chouest) がドルフィンを牽引するため5月22日の早朝にサンディエゴを出航した。翌日ドルフィンはサンディエゴに牽引された。

ドルフィン以前に火災により放棄されたアメリカ海軍の潜水艦は、1988年のボーンフィッシュ (USS Bonefish, SS-582) であった。ボーンフィッシュはバッテリー室の火災により3名の乗組員が死亡している。

退役

ドルフィンは3年半に及ぶ修理が行われ、その費用には5,000万ドルが費やされた。2005年の夏に海上公試を完了し、1年限りの任務に復帰した。

ドルフィンの運用には毎年1,800万ドルが費やされ、2006年中旬に海軍はドルフィンの退役を決定した。2006年9月22日にドルフィンは退役し、サンディエゴの宇宙・海洋戦術システムセンターの160号桟橋に係留、保管された後2007年1月15日に除籍された。

ドルフィンは2008年9月にサンディエゴ海事博物館に正式に移管され、洋上展示される8番目の船になった。2009年7月4日に一般公開されている。

脚注

参考文献

外部リンク


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