トール・ヘイエルダール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 13:27 UTC 版)
近代的な意味では、ノルウェーの人類学者で冒険家のトール・ヘイエルダール(1914年-2002年)の冒険航海と研究により、葦船の構造と能力がよりよく理解されるようになった。 ヘイエルダールは、古代の地中海やアフリカの人々がカナリア海流に乗って航海して、大西洋を横断して、南北アメリカに到達した可能性があることを実証したいと考えていた。1969年、ヘイエルダールは古代エジプトの太陽神にちなんで「ラー」と名付けた葦船を建造した。その設計は古代エジプトのモデルと図面に基づいていた。船はチャド共和国のチャド湖から招請した船大工によって建造された。原料のパピルスの茎はエチオピアのタナ湖のものを使った。モロッコ海岸(サフィ市)から大西洋を横断しようとして出航した。数週間後、設計ミスと舵の喪失により、「ラー」の船体は大きく浸水していた。最終的に「ラー」は放棄された。 翌年、ヘイエルダールは新しい船、「ラーII号」で再挑戦した。今回はボリビアのチチカカ湖の船大工が建造した。再び、船はモロッコから出航し、今回は成功してバルバドスに到着した。 1978年、ヘイエルダールは3番目の葦船である「ティグリス」を建造した。この船の建造目的は、メソポタミアとインダス文明が、貿易と移住を通じて結びついていた可能性の実証だった。「ティグリス」はイラクで建造され、ペルシア湾を航海して、インダス文明のあったパキスタンを経由して、最終的には紅海にまで入った。船は5ヶ月間耐航性のある状態で海にとどまった。その後、アフリカの角で激化していた地域紛争への抗議として、「ティグリス」はジブチの海上で燃やされた。
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