トロンボキサンやプロスタグランジンに関係する薬剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 00:29 UTC 版)
「抗血小板剤」の記事における「トロンボキサンやプロスタグランジンに関係する薬剤」の解説
COX-1阻害 アスピリンに代表される。血小板には核がなく、分化して7日間の血小板寿命のあいだには新たな蛋白が合成されない。シクロオキシゲナーゼ (COX-1) にアスピリンが結合し不可逆的に酵素を失活させるので、トロンボキサンA2 (TXA2) が産生されず、血小板が凝集しない。アスピリンが少量であればタンパク質が補充される血管壁にはCOX-1は失活せず、COX-2も活性が保たれるので血管拡張作用や血小板凝集減弱作用のあるプロスタグランジンI3 (PGI3) は、血管壁から供給される。以前は保険適応を認められていなかったが、脳梗塞と虚血性心疾患に処方が認められるようになった。バファリン(低用量81mg、鎮痛薬として用いるときは330mg)やバイアスピリンが有名である。 プロスタグランジン製剤 経口可能なPGI2誘導体製剤やPGE1誘導体製剤のほか、静脈内投与される薬もあり、リポ化製剤は血栓に集まるので、点滴ではなく注射で投与することができる。PGE1誘導体製剤リマプロストアルファデクス(オパルモン、プロレナール)やPGI2誘導体製剤ベラプロスト(ドルナー、プロサイリン)が経口剤としてある。ベラプロストは肺高血圧症にも適応があり、リマプロストアルファデクスは脊柱管狭窄症で用いられることがある。 魚油 EPAやDHAなどは血小板凝集作用の弱いTXA3に代謝されるので、結果として血管拡張と抗血小板作用を示す。脂質異常症と閉塞性動脈硬化症に適応をもつ。脂質異常症の治療も兼ねるイコサペント酸エチル(英語版)(エパデール)が有名である。 トロンボキサン合成酵素阻害剤 血小板凝集を促進し血管を攣縮させるTXA2の合成酵素を阻害する。そうすると、器質に供給されてPGI2の産生も増える。脳梗塞の急性期に点滴で投与するほか、クモ膜下出血に伴う血管攣縮にも適応がある。オザグレルナトリウム(カタクロット、キサンボン)が有名である。
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