トランジェントコマンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 04:26 UTC 版)
フロッピーディスクに実行ファイルとして記録されているコマンドをトランジェントコマンド (transient command)という。次のようなものがある。 STAT ディスクやファイルのサイズを表示する、ファイルの保護属性を表示・変更する、デバイスのリダイレクト状況を表示・変更する、など様々なシステムの状態を表示・操作する。 PIP 周辺装置やディスクの間でファイルをコピーする(Peripheral Interchange Program)。DECのPDPシリーズのコマンドに由来する。 SUBMIT バッチファイルを実行する。 ED キャラクタ単位のラインエディタ。 ASM 8080用アブソリュートアセンブラ。 LOAD ASMの出力したオブジェクト(インテルHEXフォーマット)を.COMファイルに変換する。コマンド名から機能を連想しづらいことで有名。 DUMP ファイルの16進ダンプツール。アセンブリソースコードが添付されており、プログラミングのサンプルでもあった。特に、ASCIIダンプがついていなかったため、この機能を追加することは定番の改造だった。 DDT セルフ環境のデバッガ (Dynamic Debugging Tool)。殺虫剤のDDTにかけた命名である。 XSUB バッチ処理中にコンソール入力をファイルから取得する際にSUBMITと同時に用いる。CP/M 2.x以降に用意された。 MOVCPM CP/M自身の再配置ツール (move CP/M)。CP/M自身のコードは実装されたRAMの最上位に配置される。つまり、実装メモリが変わるとCP/M自身の配置を変更する必要があった。リロケータブルでない8080コードで書かれたBDOSとCCPを再配置するためのツールがMOVCPMである。各マシン向けのBIOS (Customized BIOS, CBIOS) はソースコードが供給されるのが普通だったので、インストールする人が自分で再アセンブルすることで必要なアドレスで実行できるバイナリを得られた。 パソコンメーカーが自社製品用に供給するCP/Mのパッケージには、上記以外にもフロッピーのフォーマットやコピー、ハードウェアの設定など独自コマンドが追加されていることが多かった。 なお、トランジェントコマンドがロードされるメモリ上の領域 (0100H - ) をTPA (Transient Program Area) と呼ぶ。
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